2012年04月に読んだ論文とか文献とかまとめ
こんにちは。
4月になりましたので、大学院1年生たる僕は(卒論と同じ研究室に所属しつつも)心機一転して勉学に励んでおります。という設定になっています。
先日「Twitterで学生が研究内容を暴露している件について」が話題になりましたね。実際のところこういうところに無頓着な方は多く、それってどうなのと思うと同時に、でも研究内容が共有されたり広くディスカッションされたりするほうが学術分野の発展って意味ではいいよねとも思っています。これあれか部分的な最適解の和が必ずしも全体の大域解にはならないって話か、要は囚人のジレンマか、となると大学院は監獄か。
ジョークですよ。
この記事は僕が4月に読んだものの一覧とその簡単なコメントを列挙するものです。その最大の意義は、僕自身が後で見返して「ああこの頃はこんな方向向いてたのね」と思うためであります。次点として、ああ理系の大学院生ってこんな感じのもの読んだりしてるんだねという感想を抱くためのひとつの実例としてあります。同業者の方に役に立つ文献リストかといえば、そうではないでしょう。なぜなら読んだもののうち多くは僕の研究分野とはそれほど関係がなく、そのため入門向けのものが多いからです。
では列挙します。著者名とかページ数とか本当は書いたほうがいいんだけど省略、学会名/論文誌名と年度だけ書きます。
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Procedural Content Generation for Games: A Survey [ACM TOMCCAP, 2011]
- ゲームに用いられるコンテンツ、たとえばフィールドマップや建物や木などを自動生成したりできたら嬉しいよね、という話に基づく技術的な調査論文
- そういうテーマの調査論文は初らしい
- 石のテクスチャの生成とかはともかく、ゲームのシナリオとかゲームシステムとかまで自動生成しようとしてる
- 実際のゲームでの技術の使用例の表とかがある
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A survey of procedural techniques for city generation [ITB Journal, 2006]
- 上記はゲーム全体についての話だったけど、これは街の生成に特化した話。
- 既存の街生成ツールをいくつか紹介し、それが具体的にどんな機能をもってどんなのが作られるかってのを紹介してる
- 技術的な説明もちょっとある。 Fractals, L-Systems, Perlin Noise, Tiling, Voronoi Texture Basis. これらはグラフィカルに説明されていてわかりやすい
- いろんな方向性でいろんなことやってるのね、この時点では手法がどれかに一本化されてるってことはないのね、ってことが分かる
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Citygen: An interactive system for procedural city generation [GDTW, 2007]
- 上の論文の筆者たちが調査の結果を踏まえて新しい街生成ツールを作ったよって話。
- これについては以前に独立した記事を書きました。[論文][都市生成] Citygen: An interactive system for procedural city generation
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A survey of procedural techniques for city generation [ITB Journal, 2006]
- 上記はゲーム全体についての話だったけど、これは街の生成に特化した話。
- 既存の街生成ツールをいくつか紹介し、それが具体的にどんな機能をもってどんなのが作られるかってのを紹介してる
- 技術的な説明もちょっとある。 Fractals, L-Systems, Perlin Noise, Tiling, Voronoi Texture Basis. これらはグラフィカルに説明されていてわかりやすい
- いろんな方向性でいろんなことやってるのね、この時点では手法がどれかに一本化されてるってことはないのね、ってことが分かる
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Procedural city layout generation based on urban land use models [EUROGRAPHICS, 2009]
- 上記システムはたいへんよくできていますが、しかしリアリティに欠けます。なぜなら、土地利用について考えていないからです。「ここは住宅、ここは工業地帯」みたいな発想がないのです
- そういうことやんなきゃあリアルな街が作れるわけないよね、ってことでガチで土地利用についてトライする論文
- ヨーロッパの街は歴史的な核を持つ傾向にあり、しかしアメリカの街は…みたいなことを考え、土地の起伏なども考慮し自動で土地利用マップを生成
- なんと引用している論文の半分くらいが土地利用についての文系よりのもの
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Interactive Geometric Simulation of 4D Cities [EUROGRAPHICS, 2009]
- いやいや街って時間経過で変化するものでしょ、パッと自動生成して「できました」は違うでしょ、って方面からのアプローチ
- 詳細なシミュレーションにより小さかった街が発展していったりして絵を見てるだけで面白い
- シミュレーションも交通とか住民数とかいろいろなのを真面目に取り入れてて本格的
- すっごい高いソフトウェア CityEngine の中の人たちの論文
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Video Anomaly Detection Based on Local Statistical Aggregates [CVPR, 2012]
- これは街とか関係ないです。動画から異常領域をどう見つけるかって話についての論文
- よく使われてるデータセットを用いて昨年までの一番良かった手法より良い成績を記録
- どうやら動画中の各位置について確率モデルを作り、動画はそのグラフだとし、マルコフ性を仮定して統計手法(ネイマン・ピアソン?)を用いることにより異常を検出するらしい
- 正直詳細がよくわかんなかったのでこの人たちの一つ前の論文も読むつもり
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特集「音楽情報処理技術の最前線」 [情報処理, Vol. 50, No. 8, 2009]
- 日本語です。良いですね
- 音楽の処理について幅広く紹介
- コラム的な書き方というか、「こういう手法があるよ」って書いてるだけで具体的に誰の何なのか書いてなくて[要出典]って思う箇所多数
- 今ここからいくつかたどって具体的で詳しいものを読もうとしてます
- 便利なツールの紹介や文献の探し方ガイドなどもあり親切
以上!
わりかし趣味に偏ってるもの多いです。5月も同じようにまとめ作ります。そっちはもう少し硬い内容が書ければなと思います。
まあ、いま手元にある論文は「恋人の有無が中学生の意識に与える影響」とかですけどね!
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