◇J1第3節 第1日 仙台2−1柏
フラフラ、ヨレヨレになりながら、仙台が公式戦5戦目で今季初白星。「震災から2年がたって迎えるホーム試合、今日こそは勝利を届けよう」。手倉森監督にそう叱咤(しった)されたイレブンの執念が結集したのは1−1で迎えた後半41分。ゴールを決めたのはFWウイルソンだが、アシストした右SB菅井のプレーにすごみがあった。
「相手を抜くイメージはできていた。前半からペースを上げすぎて、(体力は)ギリギリ…。上がって攻撃に絡んで、(力いっぱいのプレーは)これが最後かな、と」
敵陣ゴールライン際で、菅井は梁のスローインを収めた。相手DFが猛襲してくるのを冷静に待っていた。そして突っ込んできた瞬間、球をフワリと頭越しに浮かせて抜き去った。パッと開けた視界の先で、フリーのウイルソンが構えていた。
「イマジネーションあふれるプレー。何が何でも勝ち点3を取るんだという気持ちの表れ」。誰よりもその価値を認めたのは、手倉森監督だった。その10分以上前から菅井の左脚はけいれんに襲われ、ダッシュもできない。試合終了の笛と同時に芝にへたり込み、担架が呼ばれるほどだった。初勝利を呼び込んだのは、死力を尽くした先のビッグプレーだった。
ACL1次リーグのアウェー・江蘇舜天(中国)戦から中3日。苦しんで苦しんで、「仙台劇場」がやっと幕を開けた。 (松岡祐司)
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