天皇の出席「違憲では」 研究者ら式典批判

2013年3月15日 09時51分

 サンフランシスコ講和条約が発効した4月28日の政府主催「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」に、天皇皇后両陛下が出席することに、識者は天皇の政治利用で憲法違反にあたる可能性を指摘した上で、「安倍政権の狙いは天皇を元首とする改憲に向けた既成事実づくりではないか」と分析、批判している。

 元琉球大学准教授で、関西大学の高作正博教授(憲法学)は、「憲法上の天皇制は天皇の政治的権力の行使を禁止することに意味がある」と指摘。内閣の助言と承認に基づく国事行為も具体例を列挙しており、政治的影響力を付与する行為を例示された国事行為以外に認めることは憲法の趣旨を逸脱し、認めるべきではない、という見方だ。

 自民党の衆院選公約として式典開催を決定したこと自体が恣意(しい)的であり、天皇の式典参列のルールもない中、「都合のいいように天皇を利用しようとしている点で憲法上大きな問題がある」と語った。

 安倍政権の狙いについて「自民党は改憲案で天皇の元首化を目指しており、国家主権に関わる式典に天皇参列を実現することで、改憲に天皇を利用するという意図が見える」と推測した。

 沖縄国際大学の石原昌家名誉教授(平和学・社会学)も安倍首相の悲願ともいえる改憲の動きが背景にある、とみる。

 一方で、同講和条約で米施政権下に置かれることになった沖縄にとって4・28の式典は「煮え湯を飲まされた上、傷口に塩を塗る行為」と表現。天皇が沖縄を何度も訪問していることから「天皇は沖縄への思い入れがあると思う。沖縄を本土と分断した日の式典に参列することは不本意なのではないか」と話した。

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