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【ふくい老舗物語】

思い出に残る名物を 菓子製造・販売 マエダセイカ常務 前田和宏さん

2013年3月4日

「羽二重風呂敷のような名物を作りたい」と意気込みをみせる前田和宏さん=いずれも永平寺町の「羽二重餅の古里」で

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 ひっきりなしに大型バスで観光客がやって来て、永平寺町松岡吉野にある古民家風の建物に入っていく。菓子製造・販売「マエダセイカ」が運営する直売所兼工場「羽二重餅の古里」。看板商品の「羽二重風呂敷」などがずらりと並ぶ。その中央には風情漂う「いろり」があり、それを取り囲んで木製ベンチがしつらえてある。

 「普通のドライブインだと、休憩スペースもあまりない。ここでは、ゆっくりとできるようにしている」。そう言って、常務の前田和宏さん(46)はほほ笑んだ。

 「子どものときから、なんとなく(家業を)すると思っていた」と言う。関東の大学を卒業後、二年ほど埼玉県の和菓子店に勤務。「いわゆるでっち奉公というやつだね」

 早朝の午前四時に起床しなくてはならないこともざらだったが、「中学、高校と卓球に打ち込んで、鍛えられていたから」と苦にはならなかった。経営者としての精神を学んで今から十年ほど前に帰郷。創業者で会長の父実さん(77)や、兄で社長の晃宏さん(49)とともに店を切り盛りする立場に就いた。

オートメーション化の工場の一角では、「羽二重風呂敷」の仕上げを一つ一つ手作業で進めていく

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 現在は製造・販売部門を担当している。風呂敷で包んだようなパッケージが特長の「羽二重風呂敷」をはじめ、自社の商品について「基本的にはいずれもが“十年選手”だったり、“二十年選手”だったりする」と語る。

 新商品開発には一年かかることは当たり前。昨秋に新発売した「幻のにっき羽二重」で使っている香料の「シナモン」についても、メーカーから二十以上の種類を取り寄せて、最も商品に合うものを厳選した。品物を入れる箱なども既製品は使わない。その品物の雰囲気などを最大限に引き出すようにと、箱などは特注品にしている。

 その理由は「品物で旅行先などのことを思い出せるようにしたいから」。そんな思い出に残る名物を作っていきたいとの情熱をにじませる。「あの店じゃないと買えないというような商品を作りたい。だから『幻のにっき羽二重』もシナモンの匂いが特長のインパクトのある味にしている」と自信を示す。これからも商品開発に取り組んでいく。「『羽二重風呂敷』などのような名物を生み出す」のが目標だ。 (桂知之)

【あゆみ】1954(昭和29)年に創業。当初はせんべいなどを作っていたが、やがて羽二重餅の製造を開始。80年に株式会社となる。「羽二重餅の古里」は93年に立ち上げた。県内では、着物姿の外国人女性が「マエダセイカデース」と片言の日本語でPRするテレビコマーシャルでおなじみ。出演する女性は代替わりしており、現在放映中のコマーシャルに出演している女性は5人目という。

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