JR福井駅西口再開発事業に伴う建設解体工事を受け、県が保存の意向を示している時計=福井市中央1丁目で
|
 |
福井市のJR福井駅西口再開発事業区域にあるアーケード街「福井駅前ショッピングプラザ」で、アーケードに掛かっている時計の存続について検討していた県は、時計を保存する方針を固め、関係者や関係機関に働き掛けている。当初は再開発事業の建物解体工事に伴い廃棄処分される予定だった。この措置で県都のシンボルは次世代に受け継がれ、再び新たな歴史を刻み続けていきそうだ。
市駅周辺整備課によると、時計は一九七六(昭和五十一)年度に設置された。電気式で、外装を含むと幅十三メートル、高さ四メートル。大勢の通行人の目に留まり、駅西口を象徴する存在となっている。
県は、県民や駅利用客らが慣れ親しんできた時計であることなどを理由に、保存の意向を市に持ち掛けた。これを受けて市は、あらためて現地を調査し、「保存に向けて取り外し可能」との判断をしている。
ただ、アーケードは時計を含め、福井駅前商店街振興組合(加藤幹夫理事長)の所有となっている。一部は市と撤去で合意しているが、福井鉄道福武線の市役所前−福井駅前間(通称ヒゲ線)延伸反対を理由に、残り部分の撤去については合意に至っていなかった。
しかしここに来て関係者の努力が実り、十八日の組合理事会で全面的な合意に至る見込み。そうなれば時計の存続も正式に決まる。
加藤理事長は県の意向について、「具体的な話を聞いてからだが、良い方法で時計を保存してもらいたい」と前向きな姿勢を見せる。
県都市計画課によると、時計は県立歴史博物館(福井市大宮二丁目)で保存し、状態を見て展示の可否を検討していく予定。
この記事を印刷する