電子機器の普及にともないまん延し続ける電磁波。太陽フレアのレベルになると、送電網まで破壊する力を秘めている。
もしも電磁波を浴びたらどうなるのか?頭痛や倦怠(けんたい)感を起こす自律神経障害、網膜異変、腫瘍(しゅよう)/白血病など重大な健康被害を引き起こすことになるのだ。
■近づくな危険
電磁波は、電波や光の総称と考えれば分かりやすいだろう。電気で磁力を作る電磁石、磁力を電気に変える発電機がペアになった構造で、空間を移動する電荷が磁場を作り、その磁場が電場を生み出す。これを繰り返しながら進むと、進行方向に対して垂直に変化する横波が発生する。これが電磁波の正体だ。
波のサイクルを周波数と呼び、Hz(ヘルツ)の単位であらわされる。1秒間に波が1回発生すれば1Hz、1,000回なら1kHz(キロ・ヘルツ)のように表現される。
身の回りの電磁波とおよその周波数を挙げると、
・地磁気変動 … 0.03~3Hz
・船舶通信 … 30k~300kHz
・ラジオ … 300k~3MHz(メガ・ヘルツ)
・携帯電話/電子レンジ … 300M~3GHz(ギガ・ヘルツ)
・衛星通信 … 300G~3THz(テラ・ヘルツ)
・可視光線 … 340T~790THz
・紫外線 … 790T~10PHz(ペタ・ヘルツ)
紫外線以上はX線やガンマ線などの放射線となる。無線LANやコードレス電話も2.4GHz帯を使っているので、家庭内も3GHz前後の電波に満たされているのだ。
周波数以外に、電磁波の強さと距離が人体に与える影響を決める。強さは電力密度と呼ばれ1平方m(メートル)あたりに何W(ワット)かであらわされ、数値が大きいほど強いことを意味する。
夏の太陽が1平方メートルあたり1,000Wなのに対し、コタツの赤外線は5,000Wとはるかに強い。これは、電磁波の影響が距離の2乗に反比例するからだ。
仮に1m離れた地点で1,000W/平方メートルとすると、倍の2mに離れると4分の1の250Wに減る計算だから、十分な距離をとれば影響を受けにくくなるのだが、近づくと急激に強くなることも意味している。
半分の50cmに近づけば4倍に強まるので、電力密度が低い機器からでも強い電磁波を受けてしまう。
変電所や高圧線は電磁波の発生源として有名だが、地上の人が地下変電所から受ける磁場が1,000mG(ミリ・ガウス)なのに対し、肌に密着する電気ヒゲソリは15,000mGにも及ぶ。
50W程度の電気毛布も100mGを超え、身近な電気製品からも携帯電話に匹敵する磁場にさらされているのだ。
■共鳴するイオン
電磁波が人体に与えた症例と、大まかな電力密度を見てみよう。
・0.1μW(マイクロ・ワット)/平方cm … 携帯電話で脳波が乱れる
・1.3~5.7 … 成人の白血病が約2倍に増加
・5~10 … 神経系の活動低下
・10~25 … 脳の海馬(かいば)に変化がみられる
・50 … レム睡眠の減少
・100 … 免疫機能低下
空港のレーダーや放送塔が発した高周波によってガンや脳腫瘍(しゅよう)、リンパ腫や白血病が6~9倍に増加した例もある。
電磁波による健康被害は、細胞内のイオンに作用するサイクロトロン共鳴が原因だ。
磁力を受けたイオンには回転力が発生し、ネジのようならせん運動を起こす。磁力が強いほど回転スピードは速まり、勢いの増したイオンは細胞膜を突き破り、流出してしまうのだ。
人体に必要なイオンにはリチウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムがあり、どれも100Hz以下でサイクロトロン共鳴が起きる。日本の電力は50/60Hzなので、白熱灯や電気ヒーターなど簡単な構造の家電からも、危険レベルの電磁波を受けているのだ。
IH調理器や太陽光発電の導入がきっかけで電磁波過敏症となった人もいるから、頭痛やダルさを感じる人は要チェックだ。
電磁波を防ぐもっとも手軽な方法はシールド、つまり金属のネットを利用する方法だ。
シールドにとらえられた電磁波は電気に変わるので、アース端子につないだネットを発生源にかぶせれば完了だ。
蚊帳(かや)のように釣ったシールド内なら70~80%カットできた例もある。アースに接続しないと磁気を帯びて逆効果となるので、金属製のベットフレームやマットレスのスプリングが原因となるケースも多い。
眠りの浅い人は非金属製に変えるか、アース線を取り付けるなど工夫してみると良いだろう。
■まとめ
洗濯機や電子レンジに見られる緑色のアース線は、感電防止のイメージが強いが、電磁波モレにも有効なのは、残念ながらあまり知られていない。
アースの語源はearth。母なる大地には気の毒だが、有害な電磁波を引き取ってもらい、快適に暮らそう。
(関口 寿/ガリレオワークス)