もしも科学シリーズ(34):もしも人口が100億人を超えたら

  [2013/01/14]

世界人口はおよそ70億人。このまま増加し続ければ、21世紀中に100億人を突破する。
もしも世界人口が100億人を超えたらどうなるのか?深刻な食糧難や土地不足から生じる紛争、高齢化による労働力不足から、国はおろか、不安定な世界になりそうだ。



■狭すぎる地球

人口は文明に比例する。とりわけ科学や医療の進歩は、出生率向上と長寿命化を推進し、世界人口を爆発的に増加した。
国によって精度差はあるが、200年ほど前から統計がおこなわれているため、18世紀以降はおよその世界人口が把握できている。国連人口基金の資料をもとに、1804年の10億人を起点に、10億人増えた西暦と1年当たりの増加率をみると、
 ・10億人 … 1804年
 ・20億人 … 1927年 … 0.08億人/年
 ・30億人 … 1959年 … 0.31億人/年
 ・40億人 … 1974年 … 0.67億人/年
 ・50億人 … 1987年 … 0.77億人/年
 ・60億人 … 1999年 … 0.83億人/年
 ・70億人 … 2011年 … 0.83億人/年
10億人になるまで約1800年、それから20億人に到達するのに123年間かかったが、その後は32年間、15年間と、2次曲線的に時間を短縮し続けている。60億をピークに落ち着きをみせているものの、もし0.83億人/年のペースが続けば、2047年に100億人突破を迎えるのだ。

1950~2050年の100年間をクローズアップすると、人口増加がもっとも激しいのはサウジアラビアの1,440%、続いてコンゴ(1,219%)、ナイジェリア(1,029%)は10~14倍に増加する。逆にウクライナのように3%ほど減少する国もあり、現在とかけ離れた人口分布が予測されている。

2011年の統計によると中国(13.5億)、インド(12.2億)、アメリカ(3.1億)がトップ3だが、2050年の予測人口(概数)は、
 ・世界人口 … 93億人
 ・1位 … インド … 17億人
 ・2位 … 中国 … 13億人
 ・3位 … アメリカ … 4億人
だ。5.5人に1人はインド人だから、世界中どこでも出会える比率だ。すごいぞインド!オレをいざなえ、ガンジスの流れに。

人類の繁栄は喜ばしいが、同時に深刻な問題も引き連れてくる。誰もが思いつくように食料不足だ。人が増えれば多くの土地が必要となり、田畑や山林が住宅地にされるケースが多いが、第一次産業に使うべき土地に人が住めば、さらなる食料不足を引き起こす。

埋め立て、高層化、集約農業、植物工場などあらゆる手段が講じられるだろうが、現在の50%以上増加した人類に足る食料が、確保できるかは疑問である。

資源不足から紛争が生じるのは歴史的必然と言えるが、濃すぎる人口密度がストレスとなり、引き金となる可能性も考えられる。住宅事情の悪さからウサギ小屋と揶揄(やゆ)される日本でも、2010年の人口密度は1平方km当たり343人だが、2050年になるとバングラディシュは1,350人、フィリピンでは313人から517人へ、インドも360人から515人と、いまの日本よりもはるかに高密度となるのだ。

2007年時点ですでに人口密度世界一(966人/平方km)のバングラディシュは人があふれ、電車の屋根や連結器に「乗車」するのが当たり前だが、乗車率が4割増えたら電車が耐えられるか心配だ。

■老老介護の国

そのころ日本はどうなっているのか?世界的な出産ラッシュを迎えるなか、現在約1.27億人の人口は、2050年には9,700万人と25%ほど減少すると予測されている。いまに始まった出生率の低下が主力となる世代を減少し、超高齢化社会となってしまうのだ。


15歳~65歳の就労可能な人口は51.5%、若者と老齢の分かれ目となる中位(ちゅうい)年齢も56歳と、どちらも世界ワースト1。人口の半分に満たない労働人口と、56歳未満と56歳以上が同数の「老いた国」となってしまう。

2050年の世界平均は63.3%/37.9歳、人口最多のインドは67.5%/37.2歳とずいぶん若々しく、日本の高齢化ぶりは否定できない。56歳まで若者と呼ばれるのは悪い気はしないが、老齢者がさらなる老齢者を支える老老介護状態の経済では、国の機能は低下する。

いったい何歳になれば隠居できるのか?老兵は死なず、ただ去りゆくのみ。

■まとめ

爆発的なインドの人口増加は、最終的に17億人に及ぶ。ただし2060年にピークを迎え、その後は減少の一途をたどるというから、これも自然の摂理だろう。
その後に台頭するのはアフリカだ。2300年にはアフリカ大陸だけで3兆人を超えるとのシミュレーションもある。1平方kmに9.9万人が暮らすのでは、狭すぎてライオンの寝場所もなさそうだ。
狭いながらも楽しいわが家に感謝しつつ、長寿と繁栄を。

(関口 寿/ガリレオワークス)

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