グランパスは、開幕2試合で勝利のない重苦しさが90分以上、漂っていた。
3試合目で状況を打開するために、ストイコビッチ監督は2つの手を打った。形を変えるという点で闘莉王のFW起用。フレッシュな選手を入れるという点で、新人の本多を抜てきした。それでも、閉塞(へいそく)感は消えなかった。
打開策がみつからない後半に、好転させる絶好機が巡ってきた。相手の退場に乗じて、数的優位を生かせる場面に、矢野とダニルソンを投入。ベンチの意図は、ゲームを支配することより、矢野の高さも生かして一気に勝負を仕掛ける形だった。しかし、ボールをゆっくり動かすだけで、流れを変えられなかった。
今はベンチからのメッセージと、ピッチ上のプレーがうまくかみ合っていない。FW闘莉王は前線で巧みな駆け引きを見せたが、チーム全体で彼を生かした攻撃のイメージができていない。
どんなシーズンでも、最初の勝利をつかむまでは、なかなか落ち着くことができないもの。拾ったような勝ち点3は流れを変えるきっかけになる。次の試合こそ、グランパスの力が見えてくるだろう。 (元日本代表、グランパスDF・米山篤志)
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