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[事例]「東北UPプロジェクト」に見る「SROI(社会的投資収益率)」の可能性

2013/03/16


最近気になっている「社会的投資収益率(SROI)」に関するお話が聞けるとのことで、マイクロソフトが行う復興支援活動の報告会に行ってきました。


マイクロソフトの就労支援事業

マイクロソフトはグローバル企業だけあって、世界的にもフィランソロピー(社会貢献)に力を入れています。日本マイクロソフト(以下MS)としても、復興支援は最優先課題としていつづけているそうです。

そんなMSが取り組んでいるの活動のひとつが「東北UPプロジェクト」。

2012年1月1日から始まった、「ICTスキル習得による就労機会の拡大」を目的とした企画です。現地で活動するNPOと連携し、これまでに7地域で展開しています。

1年3ヶ月の間になんと300回の就労支援講座を行ったそうです。就労者は193名で、受講者のうち45%が就労に成功したとのこと。


先駆的なSROI評価

で、今回の取り組みの隠れた目玉が「SROI」を使った活動評価。グローバルで進んでいる、「非貨幣的な価値」を金銭換算するための評価手法です。

SROI(社会的投資収益率)=貨幣価値換算された社会的価値÷投入された費用

「貨幣価値換算された社会的価値」とは、例えば、当該事業によって就労を実現した対象者が獲得した賃金、対象者の健康状態の改善による社会保障費や医療費の削減、税収の増加といったものが対象となる。

ソーシャルイノベーションの加速に向けたSROIとSIB活用のススメ

ビズデザイン株式会社が第三者として参加し、社会的な社会的投資収益率の評価をしたところ、投資効果は「4.46」、中間報告貨幣価値推計は75,555,000円となったそうです。

企業のCSR活動にせよ、NPOに活動にせよ、「いいことをした」というだけで終わってしまっては、「本当にその取り組みに価値があったのか」「どの程度価値があったのか」を知ることができません。特に多くの日本企業は、自社のCSR活動に対する評価らしい評価を行えていないので、その点、MSの取り組みは非常に先進的といえます。


SROIの可能性

ソーシャルイノベーションの加速に向けたSROIとSIB活用のススメ」で指摘されているように、これは「社会的インパクト債券(SOcial Impact Bond)」と呼ばれる市場を形成するきっかけを与えます。

スクリーンショット 2013 03 14 10 23 27

上図はわかりにくいのでシンプルにいえば、

・投資家がSIB業者に資金を提供する。
・SIB業者が、SROIの高い活動を行う団体を選定し、投資家の資金を提供する。
・SROIを測定し、それに応じて政府が投資家へ金銭的リターンを提供する。

というプロセスになります。政府からしたら公的部門コストの削減になるので、投資家にリターンを支払うことができるわけです。レポートで報告されている通り、英国の刑務所出所社の再犯防止プログラムを対象に、この仕組みが導入されています。

たとえば「東北UPプロジェクト」を例に取れば、SROIは4.46なのでかなり高めです。ということは、もしSIB市場があれば、ぼくが「東北UPプロジェクト」に資金を提供したとき(たとえば1万円)、政府から1万円以上のリターンをもらうことができる可能性がある、ということですね。


さらにいえば、この仕組みは個人にも応用可能だと、ぼくは考えています。

つまり、世の中に対してよいことをする人は、①資金の提供を受けることができ、②その人に投資する人たちは、リターンを得ることができる、という未来です。

クラウドファンディングと評価経済—評価を換金するインフラとして」という記事で指摘した通り、①に関してはすでに実現しつつあります。あとは信頼や社会的インパクトが指標化されるだけです。

個人に関していうと、②の仕組みはもう少し時間が掛かりそうです。つまり、ぼくが社会的なインパクトを生み出す誰か(金銭的、非金銭的な)に投資をすることで、何がしかのリターンを得ることができる市場が整うということです。

直接金銭をもらうのではなく、税控除などのかたちでリターンを受けるのが現実的かもしれません。もっとSF的な未来も考えられますね…(次回作はここら辺の話を小説にしたいと思います)。


SROI評価に関しては、ビズデザインのウェブサイトにすばらしい資料が公開されています。激しく興味深いので一読をおすすめ。

日本マイクロソフト被災地支援『東北UPプロジェクト』第三者評価報告書


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