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社説

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石川議員有罪 小沢代表の責任も重い(3月14日)

 小沢一郎・生活の党代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金収支報告書虚偽記入事件で、東京高裁は衆院議員石川知裕被告=比例代表道ブロック=ら元秘書3人に一審通り有罪判決を言い渡した。

 判決は「政治資金規正法の趣旨にもとる悪質な犯行」と厳しく指摘した。石川被告は重く受け止め議員を辞職するのが筋だ。

 小沢代表は元秘書らとの共謀が認められず無罪が確定している。

 司法判断は分かれても、秘書に対する小沢代表の監督責任は免れない。元秘書らへの判決は、ゼネコンから小沢事務所への裏献金を認めた。政治的、道義的責任は重い。

 石川被告は一審判決後、昨年末の衆院選道11区で落選し、比例代表で復活当選した。

 だからと言って、選挙で「みそぎ」を受けたとの主張は通らない。

 執行猶予3年の間、公民権が停止される。最高裁で上告が棄却されれば議員の職を失う。その前に自ら政治的責任を明確にすべきだ。

 石川被告は公判で「政治家として仕事ができなくなるほどのミスか」と主張し、有罪でも公民権停止を適用しないよう求めた。

 しかし判決は「収支報告書は国民による政治活動の批判と監視のよりどころ」と指摘し、小沢代表から借りた4億円の存在が発覚しないようにするための不記載や虚偽記入を「相当に犯情が悪い」と断罪した。

 小沢事務所への裏献金5千万円を石川被告が受け取った事実も認定し、虚偽記載の故意を明確に認めた。単なる「ミス」とは言えない。

 小沢代表は「国家権力を乱用して強行した不当な捜査に基づく裁判」とあらためて司法を批判した。だが、問われたのは自らの政治資金の問題だ。裏献金や4億円の出所などについて明確に説明するのが先だ。

 控訴審では争点にならなかったが、元秘書らへの一審判決は小沢事務所が東北の公共工事談合で「天の声」を発していたとも認めている。

 政治とカネの問題が、かつて所属した民主党の信頼を損ねた責任を忘れてはならない。

 離党後、昨年の衆院選前に嘉田由紀子滋賀県知事を担いで日本未来の党を結党したが、選挙直後に嘉田氏を追い出す形で生活の党に衣替えし、自ら代表の座に納まった。

 「卒原発」公約に共感した有権者への背信行為と言わざるをえない。

 小沢代表の政界での影響力は既に小さくなっている。元秘書らの有罪で、立場は一層厳しくなった。

 信頼を取り戻したければ、政治とカネに関する疑問にきちんと答え、政治的に出直す姿勢が必要だ。

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