本土の南方に位置する織戸伏島(おとふせじま)。
澄んだ海と緑豊かな自然に囲まれた観光地であるが、古くからの因習に縛られた離島でもあった。
遥か昔、空から降ってきた大きな火の玉は、三日三晩、島の森を焼き、島民たちも焼き尽くそうとした。
漁に出た男たちのいない間、島を守る女たちは炎を鎮め、火の玉が再び暴れないように封を施したと語り継がれる。
現在でも、封印の過程は祭として行われており、少女が二人、一対の‘巫女’に選ばれ、封印の儀式を行う。
かつての巫女であった母親の消息を求め、高遠鼎(たかとうかなえ)という一人の少女が、巫女を選出するという学園――崎曄女学園(さきかじょがくえん)への転入届けを手に、織戸伏島へ辿り着く。
明るみに出る島の秘密――
祭事を司る松籟会(しょうらいかい)という組織。
祭が近づくにつれ現れる、異形のモノ‘穢れ’と呼ばれる存在。
巫女に選ばれるべく少女たちは一対の存在として、切磋琢磨し、絆を深め合っていく。
そして、二人の魂が共鳴する時、‘穢れ’を祓う奇跡の力が宿る。
少女たちの恋と友情、そして魂を結ぶ絆の物語が――今、始まる。