今日は、チェスターフィールドコート(チェスターコート)を取り上げます。《最終更新日: 2012年11月22日》
チェスターフィールドコートとは(チェスターコートとは)
チェスターフィールドコートは、最も格式の高いコートのひとつ。冠婚葬祭(フォーマル)には、できればこれを着たいところ。
デザインは、ざっくり言うとテーラードジャケットの丈を長く伸ばした感じ。生地はウール。ジャケットと同じくシングルブレスト(シングル前)とダブルブレスト(ダブル前)がありますが、シングルが多いです。
- 【MEN'S CLUB】ダブルチェスターフィールドコート|メンズクラブ・オンライン
- [男の服装術]ウールコートで大人のオフ : ファッション : ビューティー : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
チェスターフィールドコートの仕様
正式なチェスターフィールドコートは、前を閉じるとボタンの見えない比翼仕立て(フライフロント)になっていますが、カジュアル寄りのものは打ち抜きになっているものもあります(最近はこちらが多い)。
本当は上襟に黒いビロード(ベルベット)地が付いているものが正式で、付いていないものをセミチェスターフィールドコートという説もありますが、近年はビロードが付いているものは珍しくなりました(なので、いちいち「セミ」を付けることはほとんどない)。
ウールのオーバーコートいろいろ
参考までに、チェスターフィールドコートに似たウールのオーバーコートを以下に挙げてみます。ただ、コートの仕様の微妙な違いは私もよく分かりませんので、話半分で読んでください……。
- アルスターコート(ulster coat)
アルスターカラーというトレンチコートのような大きく立体感のある襟が付いたコートのことで、トレンチコートの原型とのこと。基本的にはダブルブレストで袖はカフス(折り返し)仕様、(バック)ベルトが付いていることも。強いて言えば、ふつうのチェスターよりもカジュアルな雰囲気といえるかも。
- 【MEN'S CLUB】アルスターコート|メンズクラブ・オンライン
- AKAMINE BLOG: OCEANS 11月号 連載#8: マエストロ赤峰さんのアルスターコートのこなし方
- A Walk with Mr. Barbera, Milano - The Sartorialist
イギリスの衛兵(ガーズマン)が着ていたというガーズコートというものもありまして、似てますね。より制服っぽい雰囲気かな。
- ブリティッシュウォーム(british warm)、グレートコート(greatcoat)
元は軍人用のダブルブレスト仕様のコートで、大きな特徴は肩章(エポレット)が付いていること。昔の軍人さんが着ているドレス寄りのウールコートは、こんな感じのものが多いですよね。
グレートコートも、似たような軍用のコートを指すようです。というか、こっちが正式名称なのかな?
- カバートコート(covert coat)
元は狩猟用のコートで、生地にカバートクロス(カルゼ)という綾織りのウールを使用しているのが特徴。デザインはシングルブレストのチェスターフィールドコートとほぼ同じですが(上襟もビロード仕様)、袖先と裾に4本線のステッチが入っています。カントリー系のコートらしく、色はブラウン系が主。
- ポロコート(polo coat)
アルスターコートに似たダブルブレストのコートで、ポロ競技観戦用にアメリカで生まれたコート。フレームドパッチポケット、背中のバックベルト、カフス(折り返し)付きの袖といった特徴があります。キャメルヘア地のキャメル色が最も基本的な色ですが、そのほかの色も。
アメリカ生まれということもあり、アメトラとの相性は抜群。ダブルブレストですが、ちょっとカジュアル寄りの雰囲気があります。
- Ivy Style: The Polo Coat Gallery
- Camel hair Polo coat - ひと日記
- 【MEN'S CLUB】ポロコート|メンズクラブ・オンライン
- The Ivy League Look: 100% Camel's Hair Polo Coats, 1960
- 第967回 ポロ・コートに学ぶ年輪の美しさ - ハイハイQさんQさんデス-男はカッコ
こちらの写真のコートは、ポロコートと呼んでよさそうに思います。
- ローデンコート(loden coat)
フローティングショルダーという独特の肩を持つオーストリアはチロル地方の伝統的なハンティングコートで、分厚いウール地であるローデンクロスを使用しています。とても個性的なのですが、これはこれでクラシックなコートなのです。
ところで、そもそもコートのことはオーバーコート(overcoat)と呼ぶのが正式なのです(昔は日本でも「オーバー」と呼んでいましたよね)。今のジャケット(jacket)に相当するものを、昔は(英米では)コート(coat)と呼んでいました。
そもそも昔のジャケットに相当するのものは、モーニングコート(morning coat)やテールコート(tailcoat)のように着丈が長かったのです。今でもスポーツコート(sportcoat)(テーラードジャケットのこと)やウエストコート(waistcoat)(ベストのこと)の名前に、その名残が残っています。
着こなしいろいろ
近年のチェスターフィールドコートは、他のアウターと同じく着丈が短めのものが人気です。
色としては、キャメルのコートの人気が高いようです。
こんなふうに、スニーカーと合わせる着こなし方もあります。
Brooks Brothers(ブルックス・ブラザーズ)
ブルックス・ブラザーズ(Brooks Brothers)を別記事で大きく取り上げていますが、アメトラ(アメリカン・トラッド)の雄のブルックス・ブラザーズにはアウター類も充実しています。
「ウール ダブルフェイス コート」は、着丈こそ短めですが比翼仕立てのクラシックなチェスターフィールドコート。イタリアの名門ロロ・ピアーナ(Lora Piana)社のウールを使用していまして、裏地はグレンチェック(グレナカートチェック)柄。
ロロ・ピアーナのRain System(レイン・システム)は、織りの段階でナノテクを使って撥水・防汚機能を実現した生地。高機能でありながらウール100%でロロ・ピアーナらしい高級感を維持しているのがミソです。
「ウール レインシステム マンソン コート」は、そのレイン・システムのウールを使用したチェスターフィールドコートです。
そうそう、セール(クリアランス、Clearance)になっている商品があるかもしれませんので、そちらも見てみてください(別ページにあります)。なおブルックス・ブラザーズ・オンラインショップでは、商品到着後8日以内なら未着用の場合に限り返品・交換が可能だそうです。
Michelangelo(ミケランジェロ)のeidos(エイドス)
イタリアの名門イザイア(Isaia)の姉妹会社のミケランジェロ(Michelangelo)の新ブランドが、エイドス(eidos)。本家よりも若い感覚で服をつくっているようです。
軽い仕立てのFree Time(フリータイム)ラインのテーラードジャケットが人気を集めていますが、同傾向のコートもつくっています。
こちらは、軽い一枚仕立てのチェスターフィールドコート。丈も短めです。普通にスーツやジャケットの上に着るのはもちろん、細身ですのでジャケット感覚でセーターなどの上に着るいわゆるスポルベリーノ的な着方にも対応します。生地はヘリンボーン織りのウールで、裏地はウインドウペイン柄のダブルフェイス。
イタリアの名門ロロ・ピアーナ(Lora Piana)社の毛足の長いウール地のものもあります。上品かつ高級感がありますね。
一方こちらは、バーバリーコートなどでおなじみのコットンギャバジン地のチェスターフィールドコート。ありそうであまりない春秋用のチェスターコートです。細身ですからビジネスだけでなくカジュアルにも使えますよ。BEYES(バイズ)さんの別注商品。
Engineered Garments(エンジニアード・ガーメンツ、エンジニアードガーメンツ)
鈴木大器氏がデザインするエンジニアード・ガーメンツ(エンジニアードガーメンツ、Engineered Garments)は、1999年に誕生したカジュアルウェアブランド。ネペンテス(Nepenthes)の兄弟ブランドといってよいのかな。
Quilted Chesterfield Coat(キルテッド・チェスターフィールド・コート)は、中綿入りのキルティング仕上げのチェスターフィールドコート。表面のステッチがカジュアル感を強調していて、カジュアルに気軽に着やすいチェスターコートといえます。身幅も細め。
生地は、グレーは秋冬の定番で起毛感のあるウールフランネル、ネイビーは制服によく使われるマジメ感のあるウールサージです。
Aspesi(アスペジ)
アスペジ(Aspesi)は、1969年創業のイタリアはミラノのカジュアルウェアブランド。もともとはシャツをつくっていたそう。現在最も人気のあるイタリアのアウターブランドのひとつといえるでしょう。
Rescaldinaは、チェスターフィールドコート(チェスターコート)型のダウンコート。ドレス感がありながら軽くてヌクヌクといううれしい逸品です。生地はナイロン。
Emmeti(エンメティ)
エンメティ(Emmeti)は、1975年創業のイタリアはフィレンツェ近郊の町ヴィンチのレザーウェアブランド。
こちらは、スエード(スウェード)地のダブルブレストコート。上品な仕上がりはさすがイタリアブランドといえます。イタリア製のスエードコートがこの値段なのは、狙い目だと思うなぁ。けっこう細身です。
Lardini(ラルディーニ)
近年新メンバーを加えいまっぽくなったのラルディーニ(Lardini)は、1978年創業のイタリアブランド。
パッドや芯といった副資材を極力省いたアンコン仕様のジャケットは、簡単にいまっぽく着こなせること請け合い。ラペル(下襟)のコサージュが目印です。チェスターフィールドコートもつくっていまして、同様に軽い仕立てなのです。
Tatras(タトラス)
イタリアと日本で企画し生産はポーランドで行っているというタトラス(Tatras)は、2006年に誕生したイタリアはミラノのダウンウェアブランド。
現代的な感覚でダウンジャケットをつくっているブランドとして、このブランドも候補に入れたいところ。Cappelli(カペッリ)はダウンを内蔵したチェスターフィールドで、一見ダウンコートには見えませんが実はヌクヌクというのがミソ。
Fidelity Sportswear(フィデリティ・スポーツウェア、フィデリティー)
メルトンウールのアウターを得意としているフィデリティ・スポーツウェア(フィデリティー、Fidelity Sportswear)は、1941年創業のアメリカのアウターウェアブランド。実際にアメリカ軍にウェアを納入していた本格派ブランドです。
フィデリティのチェスターフィールドコートは、やはりメルトンウール地。これはですね、カジュアルにチェスターフィールドコートを着たい人ならかなり狙い目だと思いますよ。若い人にも着やすいはず。
Ring Jacket(リング・ヂャケット、リング・ジャケット)
「セレクトショップ」などの有名店のスーツやジャケットを数多く手掛けているリング・ヂャケット(リング・ジャケット、Ring Jacket)は、1954年創業の大阪のスーツブランド。
こちらは、短丈のチェスターフィールドコート(アルスターコート)のようなドレッシーな仕上がりのコート。こういうバランスのコートはありそうでなかなかないですね。しかもジャージー編みのツイード地を使用していて、ラクチンな着心地なのです。
トレンチコート、バルマカーンコート(バルカラーコート、ステンカラーコート)
その他、当ブログでは紳士用のコートをいろいろ取り上げています。
トレンチコートは実はもともとはミリタリーコートとして有名になったのですが、今ではハードボイルドな紳士用コートとして確固たる地位を築いています。クラシックに着こなして欲しいですね。
トレンチコートと並ぶ紳士用コートの定番であるバルマカーンコート(バルカラーコート、ステンカラーコート)は、トラッドファンなら一着は持っておきたいコート。スーツに合わせるのはもちろん、細身のものならカジュアルスタイルにも合わせやすいです。
他の記事も……
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追記
- (2006年11月24日)商品を追加、入れ替え。
- (2007年12月1日)2007年度秋冬最初の更新。
- (2008年4月18日)2008年春夏最初の更新。
- (2008年12月20日)2008年度秋冬最初の更新。
- (2010年1月8日)2009年度秋冬最初の更新。
- (2010年12月2日)2010年度秋冬最初の更新。
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- (2012年11月22日)2012年度秋冬最初の更新。
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さすがにいいものは、カチッとしてえますね!
自分もウールのチェスターコート1着持ってますが、安物なんでこんなにカチッとしてないし、上等にも見えません。
安ものでも、高級に見える風格を備えたいものです。
ところで、スーツの袖丈のジャストについて知りたいです。スーツの袖丈は正式にはシャツが見えるくらいなんでしょうか?普通のつるしのスーツって袖が長いですよね?
チェスターは、安物だとシンドイですね(汗)。安いのを選ぶのであれば、真っ向勝負を避けて(?)、ナイロン系の化繊のもののほうがいいのかも。
スーツの袖丈ですが、仰るとおりシャツが見えるくらいの長さが基本。クラシックなビジネススーツなら、絶対の法則です(モード系スーツならこの限りではない)。
既製のものは長めにできていますが、これは袖を直すことを前提にしているから。ジャケットの袖は、短くするのはナンボでもできますが(あらかじめ本切羽になっているものはともかく)、長くするのは長さの限界がありますから。
安売り店においては、店員が袖丈について無頓着のことが多いでしょうが、これは店員が面倒臭かったり、知識不足だったりするからでしょう。
この辺の基本ルールについても、きちんと記事で書くべきなのかなぁ、と思いました。
ミシン跡は、ウール素材のジャケットならそんなには目立たなかった記憶がありますが、どうだったかな? スーパー150みたいな繊細な生地だと、跡が残りやすいかもしれません。
ちなみにコットン素材だと、ミシン跡もそうですが、袖を出すのも苦しいと思います(跡が残るので)。
最近は、吊るしの状態だと袖ボタンをつけていないものもありますね。袖丈を決定した後、ボタンをつけることを前提にしていると。こういうお店がもっと増えるといいのに。
薄い生地ですと、遠目から見た限りではさほどではありませんが、目の前で見ると結構分かります。(気にする人には我慢出来ないかも)
服に限った話ではありませんが、販売員の教育も含め、もっと顧客の事を考えて商売して貰いたいものですね。
いっそのこと水洗いしてしまえば跡が消えそうな気もしますが、それはそれで難しいですね(汗)。
安売りの店でサービスが悪いのは、ある意味仕方がないでしょう(サービスも値段のうち)。でも、高い店でサービスが悪かったら、「ムッキー!」です。