明日を創る:センバツ校・OBは今/下 FC東京社長・阿久根謙司さん

毎日新聞 2013年03月16日 東京夕刊

 ◇「自立」クラブに浸透−−阿久根謙司さん(51)

 9日、Jリーグ・FC東京のホーム開幕戦の会場となった味の素スタジアム(東京都調布市)。開門を待つサポーターの列に、チームの運営会社「東京フットボールクラブ」の阿久根謙司社長(51)が「おはようございます」と歩み寄った。子供を見つければハイタッチし、顔見知りのサポーターと握手を交わす。社長就任以来、開門時の出迎えを欠かさず、「地域に根差すスポーツクラブ」というJリーグの理念を体現し続ける。

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 根っからの野球人だ。早稲田実では外野手として春夏2度、甲子園の土を踏んだ。早大でベストナインに輝き、社会人野球の東京ガスでも活躍。引退後は社業に専念し、週末は母校の練習を手伝った。そんなサッカーの門外漢に10年12月、「青天のへきれき」の人事が言い渡された。同社サッカー部が前身のFC東京の社長ポスト。当時は観客数が伸び悩み、2部降格も決まっていた。「これは天命。やるしかない」と決断した。

 社長になると、行動指針に「自立」を掲げた。「先が読めない時代では、自ら考えて解決することが重要」。集客アップのため、スタッフと絞り出したアイデアが「スタジアムのワンダーランド化」だった。前例踏襲を禁じると、企画が次々に生まれた。穴子丼やもんじゃコロッケなど東京のグルメを集めた屋台村、浴衣姿だとピッチ上で練習を見られる催し、東京競馬場でのファンフェスタ開催……。サポーターに「いろいろやるようになりましたね」と喜ばれた。チームも11年に優勝し、J1に昇格した。

 こうした信念は野球で学んだ。早実時代の恩師は教え込もうとしない人だった。選手は自ら課題を見つけてバットを振り、ウエートトレーニングに励んだ。「自分で考えることに意味があると知った。責任がある分厳しいが、やりがいがあった」と振り返る。

 FC東京は都内の小学校にコーチを派遣している。「『僕、自分で考えてこんなにドリブルがうまくなった』とかね。将来の日本をしょって立つ子供の創造性、積極性を引き出したい」。それが実を結んだ時、このクラブがホームタウン・東京になくてはならない存在になる。その日に向かって全力投球の毎日だ。【小林慎】

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