ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
お待ち頂いた方お待たせしました。
少し遅れてしまい申し訳ありません。
第1話
20XX年 4月上旬 0830 ICTO作戦部 太平洋戦隊基地

「アボット大佐が呼んでる?」

その日の朝、ウルズ2ー加藤護(まもる)ーがウルズ4ーマイケル・アダムスーと一緒に朝食を食べていると従兄妹であり、ウルズ8である佐藤希(のぞみ)とウルズ10のパトリシア・ミラーが朝食を載せたトレーを持って近いてきた。

「えぇ。0900までに私達と一緒に執務室に来いと。」

「何だろうな、この前の作戦の報告書は出したが。うーん、訓練報告書かな。それとも弾薬消費報告書か?いや、この前の始末書かな?」

「次の仕事が決まったみたいだからその為のブリーフィングをやるんじゃ・・って護!貴方まだあの始末書出して無かったの!?」

「しかたないだろ。忙しかったんだから!大体あの時お前が消火器ぶちまけるから書く事になったんだろ!」

「貴方だって消火栓のホース使ってバード中佐の資料水浸しにしたじゃない!」

二人が言い争うのを見て、アダムスとミラーはお互い肩を竦め、また始まったかと呟いた。
この二人普段は仲がいいのだが、たまにこのような感じになる。そしてほとんどの場合、第3者が口を挟むまで止まらない。



「貴女達、先に行ってるわよ。」

「「へ!?」」

「へ!?じゃなくて先に大佐のところに行くわよ。時間が時間だし。」

と言ってミラーは食堂の壁にある時計を指差した。その時計の針は既に0850を指していた。大佐の執務室までは10分は掛かる。そして二人は朝食に殆ど手を付けていなかった。

「「まずい!」」

二人はそう言って、それぞれの朝食を急いで食べ始めた。
何処の国の軍隊でも時間厳守は基本だ。それはここICTOでも代わらない。



コンコンコン

「入れ。」

「失礼します。」

ウィリー・アボット大佐の執務室に二人の男女が入室してきた。

「SRTマイケル・アダムス大尉参りました。」

「同じくSRTパトリシア・ミラー中尉参りました。」


二人はそれぞれ氏名、階級を名乗り敬礼した。

「ご苦労、休んでくれ。」

アボット大佐は二人に答礼し、言った。

「あと二人足りないが、何かあったのか?」

「いえ、その・・」

「少々、事情がありまして・・」

二人が口を濁していると入口の外、通路で何事か喚きながら残り二人がこちらへ走って来たのが解る。

コンコンコン!

「「失礼します!」」

返事も聞かずノックもそこそこに噂をしていた二人が入って来た。

「SRT加藤護大尉参りました!!」

「同じくSRT佐藤希中尉参りました!!」

「ご苦労。さて二人共遅れた理由を話して貰おうか?」


「先日、導入した新装備の件について議論をしていた為遅れてしまいました!」

「佐藤中尉、今の加藤大尉の説明に間違いはないか?」

「はい!間違いありません。遅れてしまい申し訳ありませんでした!」

「全く、まぁ今日はこの辺にしておこう。私も君達に説教する暇等無いのでね。」
「それよりも諸君、任務だ。」

アボットが告げたこの一言でアダムスとミラーは元より、加藤、佐藤両名も顔を引き締めた。
1枚の写真を4人に見せた。
アボットが出した写真には加藤と佐藤と同年代の女性が写っていた。

「彼女の名前は九条由香里(ゆかり)。この子の護衛が任務だ。」

「まさか、九条ってあの九条家ですか!?」

「君が今考えている九条家だよ。」

「九条家ってそんなに有名かなのか希?」

「戦前から続く家で、曾祖父が元官房長官、父方の祖父は前国土交通大臣、母方の祖父は元経団連会長、父親は確か財務省の事務次官。その他にも外務省、経済産業省、内閣府、日本銀行等行政機関や大企業の重役クラスが親戚に沢山居てその気になれば日本経済は元より、日本自体を動かす事が出来ると言われる家よ。」

「そんなに凄い家なら自前のボディーガードや警備装置があるでしょう。なんで我々がわざわざ、しかもSRT要員が4人も必要何ですか?」

「というより、現地の警察の仕事じゃないんですか?個々の能力はともかく、我々だけでは人数も足りませんし。」

佐藤の説明を聞きアダムスとミラーの二人がアボットに質問した。

「・・・するかもしれん」
「「「「は!?」」」」

アボットは椅子から立ち上がり後ろの壁にある世界地図を眺めた。
宗教・独立問題の多いアフリカ、中東地域。外洋進出を積極的に行っている中国。ミサイル・拉致問題等を持つ北朝鮮。経済問題を抱えている先進諸国。そしてそれに伴う様々な犯罪やテロ行為・・・

「三号庁舎他不特定多数の機関、組織が彼女を拉致するかもしれない。」

「情報部からの情報ですか?」

「1ヶ月ほど前に君達が救出した情報部のエージェントの携帯に入っていた最後の情報のプロテクトがやっと解けた。その情報によると連中は兵器の供給元から首都と2つの大都市でテロを行う様に言われ、更に九条由香里の誘拐も予定していたそうだ。」
「そのテログループに武器を供給、指令を出していたのが北朝鮮の朝鮮労働党作戦部や同じ労働党の対外情報調査部、俗に言う三号庁舎なんだ。」

「北が何の目的で?」

「解らん。だが情報部に調査してもらったが、これは正式な第1書記からの命令ではないそうだ。」
「ともかく、4人には彼女を護衛して貰う。しかし彼女本人には悟られないように。」

「それは幾ら何でも・・・」

「無茶ですよ。一日の殆どを学校で過ごしているのに。」

アダムスとミラーが反論したが、アボットは手でそれを制し、

「まぁそう言うな二人とも。悪い事ではない。良いことも三つある。幸いなことに日本政府は協力的だ。だからと言って常時人員を割く訳にはいかないようだが・・・そして君達の現場指揮権は加藤大尉、次席指揮はアダムス大尉になるが、現場責任者はこの件に関して、クラス4ーaの権限を与える。」

「「「「ッ!!」」」」

この発言に驚かない者はこの部屋にはいなかった。それもそのはず、アボットが言ったクラス4ーaとはICTOの人間が作戦の際に与えられる権限の一つでこのクラス4ーaはいざとなれば関東地方に存在する全てのICTO部隊に対し最優先で支援を受けられる。場合によっては日本国の警察や自衛隊に要請を出す事も出来る。

「そして先程二人が言った一日の殆ど学校にいるという問題点も解決出来る人材が我々には二人もいるではないか。これでもまだ心配かね?」

こう言うとアボットは机の上に置いてあった作戦指令書にサインを入れ始めた。

「さて、では早速書類を準備して書き上げねばらなんな。」

この言葉でアダムスとミラーはあぁ成る程と呟いたが残りの二人加藤と佐藤は顔を引き攣らせ、解っていながらも質問した。

「あの大佐?つかぬ事を伺いますが・・・」

「書類とは何の書類ですか?」

「二人共何を言っているんだ。転入届に決まっているだろう。」

やっぱりそれしか無いよなと思いながら二人はため息をついた。

「そんなため息などつくな二人とも。普通の学校に通う良い経験じゃないか。しっかり勉強して来いよ。」
少し砕けた顔をしてアボットはそのように告げた。

「「はぁ。」」

「では明朝0600を持って、オペレーションガードオブザフェアリーを開始する。4人ともしっかりやってくれ。」

アボットが締め、4人は執務室を退室した。
12月は期末試験や大学の方の事で忙しくなるので投稿出来ないかもしれません。申し訳ありません。
12月23日に千葉県のシマックスという所でサバゲーの定例会に参加したいと思ってます。当日参加予定の人はよろしくお願いします。その他御意見等あれば教えてください。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。