ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
再び訪れた孫策軍陣営、そこで新たに2人と出会う。
第29話:軍議
協力を容認してから3日後、俺はアレックス、レオン、南郷を連れて再び孫策軍本陣に訪れた。

「海兵隊指揮官のライルと部隊長級士官3名だ。軍議参加の為に参上した」
「お待ちしておりました。孫策様と皆様が本幕でお待ちです」

本陣の警備に当たっていた衛兵に報告すると、すぐに本陣内部に入る。その途端に周囲から孫策軍将兵からの視線が集まる。俺達の格好だが今までの迷彩服ではない。
グリーンのジャケットにグリーンのズボン、グリーンのベルト、カーキのシャツ・カーキのネクタイをあわせて頭にはカーキの制帽、ジャケットの肩には金属の肩章を付け、カーキシャツの襟には小型の金属の階級章を付けたクラス"A"サービスドレスだ。

「中佐、孫策殿の印象はどんな感じですか?」
「あぁ、性格は子供っぽいところがあって明るい。だが一指導者の貫禄や英雄の名に相応しい“覇気”が感じられるが・・・・・・」
「なんだよライル、その間は?」
「何を考えているか分からない、あんな人間が一番厄介だ・・・・・・」
「本能のままに突き進むですか?」
「そういうことだ。後は何が起こっても驚くな」
「中佐・・・何ですか最後のは?」
「はぁ・・・直ぐに分かる」

そう言いながら本幕の前に到着した。入り口にいた衛兵に報告すると、その衛兵は本幕に入り、入幕許可が出ると中に入って行く。

「失礼しま「ラ〜イル♪待ってたわよ♪」うわっ⁉」

俺が中に入るなり、いきなり孫策が抱きついて来た。いきなりの事だったのでアレックス達は唖然としてしまう。そして俺が言った意味を理解した。

〔こう言う意味か・・・・・・〕

「ちょっと⁉孫策殿‼いちいち抱き付かないでと言っているでしょう⁉」
「えぇ〜⁉だって普通じゃつまらないんだもん♪それに胸が当たって嬉しいでしょ?」

そういいながら孫策は胸を俺の右腕に押し付けてくる。必死に部下達に視線で助けを求めるが、誰1人として助けなかった。というよりも助けられないが正しいだろう。

「ほら⁉俺の部下が唖然としているでしょ⁉それに今から軍議をするんだったら早く離れて下さい‼始められないでしょ⁉」
「えぇ〜、いいじゃない♪それよりも私と一緒にお酒飲み「やめんか馬鹿者‼」きゃん⁉」

なかなか離れない孫策を周瑜がチョップを食らわして引き離してくれた。ようやく解放された俺は部下達に振り向くが、アレックス以外のレオンと南郷達は視線を反らした。
なお、この時のアレックスの表情は面白がっていた。後で仕返ししてやる・・・・・・。

「さて、馬鹿がやっと離れた処で軍議を始めるが、その前に紹介させて貰うぞ」

周瑜は彼女のそばに居た2人に視線を向ける。1人は黄緑色の髪に孫策や周瑜以上に大胆極まりない服装をしたのほほんとした雰囲気の女性。
もう1人は先程からこちらを鋭い視線で見ていて、赤いミニスカートのようなチャイナ服を来た濃紫色の髪をした女性だ。

「はぃ〜。私は冥淋様の下で軍師としての勉強をしている陸遜 伯言といいますぅ」
「・・・甘寧、字は興覇だ」

何度もいうが最早驚かない。
陸遜は呉郡の四姓と呼ばれる有力豪族の出身で、始めはあまり名高い功績は無かったが、関羽と張飛の敵討ちを強行した劉備を、夷陵の戦いで敗走させたことで実力を証明させた軍人だ。しかし最後は不運にも孫権からの誤解を受けて憤死したとされる。

甘寧も孫権を支えたとされる武将だ。常に鈴を身に付けていたことから[鈴の甘寧]という異名がある。元は荊州の劉表配下だった黄祖の部下だったが、孫権軍による荊州侵攻で功績や武、知を軽視していた黄祖を見限って降伏し、後に孫権から絶大の信頼を寄せた。
死期は不明だが、甘寧が死んだことを孫権は深く悲しんだらしい。

「次はこちらが・・・・・・自分はアレックス・ヴォード。海兵隊副官をしております」
「自分は部隊長のレオン・キャメロン」
「同じく部隊長の南郷 武久であります」

レオンと南郷も敬礼をしながら自己紹介をする。本当なら細かい所属も名乗らなければならないが、絶対に理解できない筈だ。

「その3人がライル達の中でも偉いのね?」
「はい、他にも部隊長はいますが上位的になるとこの3人が指揮を担います」
「あのぅ〜、いいですか?」
「何でしょう?」
「皆さんの服装は制服か何かですかぁ?冥淋様から聞かされてた服装と違いますぅ」
「あっ‼それ私も気になってた♪」

確かにこのサービスドレスはこの世界に来てから初めて着用している。
しかし話を元に戻したい周瑜が手を叩いてくれた。

「その話はまた今度だ。軍議を始めるぞ」

そういうと俺達は適当な空いている席に座り、聞こうとしていた孫策と陸遜も渋々だが席につく。

「さて、時間が無いから簡潔に話すぞ。今朝方、袁術からの使者がやってきた。何でも反乱を起こした農民軍が寿春城に接近しているらしい。我等はそれを迎え撃てというらしい」
「まっ、実際に命令してるのって袁術ちゃんの武官や文官でしょうけどね♪」

それはいえている。3日前から気になっていた情報を集めていたが、寿春城に関する情報が入手出来た。
それによるとこの世界の袁術はまだ幼い女の子で、子供だから知識も乏しい。しかし寿春城の城下町では一般の民が苦しみ、袁術軍の武官や文官と繋がりがある規模が大きい商人が栄えているらしい。
情報からして恐らくであるが袁術本人は関わっていないだろう。
状況からして“袁術は利用されている”と判断できる。

「その“反乱軍”の現在位置は?」
「寿春城から西に80里(中国の距離測定で約40km)ですぅ。袁術軍は全て我等に押し付けるみたいで、向こうからは一兵も派兵していません」
「ここから急行するとしてもギリギリになります。何しろ“反乱軍”の動きが素早いのですから・・・・・・」

彼女達と合わせて反乱軍という言葉を強調する。

「ライル殿、そちらが動かせる兵力は?」
「我等4名を含めて総数427名。全員が導入可能です」
「いつ動ける?」
「準備が整い次第、すぐにでも・・・」
「そうか・・・・・・我等は寿春城の常備軍と挟撃する形が妥当。貴殿の隊はどう動くか?」

周瑜は地図を指しながら迎撃の案を練る。寿春城の北側と東側には長江、黄河に続く中国3大大河の一つである淮河が流れ、南には大別山が聳え立つ。反乱軍を挟撃すれば退路を遮断出来る形となる。

「質問があります。寿春城のすぐ北側はどうなっていますか?」
「緩やかな河岸が広がっているが、水軍の攻撃に備えて高い城壁が聳え立つ。しかもその間には何の遮蔽物も無い」
「あと対岸は草原が広がってるわ」

それを聞いて俺はニヤリと笑った。その言葉で作戦内容が決定したのだ。

「でしたら我等は北側から向かいます。危険ですが敵も予想すらしていないでしょう」
「“敵の虚を突く”・・・ということか?」
「その通りです。第1攻撃は我等が担いますが、くれぐれも北側には兵を回さないで下さい。かなり危険ですので・・・・・・」

そういうと彼女達も様々な表情を見せる。

「そうか・・・なら任せよう。派手に暴れて敵の注意を逸らしてくれ。その隙に我等が大攻勢に出るとしよう」

その後も俺達は反乱軍鎮圧という名前の任務を遂行する為に軍議を続けた。そして全ての打ち合わせが完了すると、俺達は作戦に備えて準備を開始する。行動開始は4日後、間もなくで俺達の“真価”を発揮させられる・・・・・・・・・。
運命の4日後がやって来た。孫策軍の独立支援をする為にライル達は行動を開始する。そこには“彼等の本気”が見られた。

次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[海兵隊の真髄]


乱世の戦場に獣達が暴れ出す。


ウェポンライブラリー
MP7A1
口径:4.6mm
銃身長:180mm
ライフリング:4条右回り
使用弾薬4.6mm x 30
装弾数:40発
作動方式:ショートストロークピストン式マイクロ・ロッキング・ラグ回転ボルト閉鎖
全長:340mm(ストック展開時541mm)
重量:1.2kg
発射速度:850発/分
銃口初速:750m/s
有効射程:200m

H&K社で開発された小口径サブマシンガン。FN P90に対抗して開発されたMP5の後継で、発表当初はFN P90を意識したPDWという名称だったが、のちにPDWは一般名詞となり、この銃は短機関銃(MP:Maschinenpistole)を指すMP7の名前が冠された。

7mm×33弾の開発データを元に開発した4.6mm×30専用弾薬を使用する。公式発表では、P90の5.7mm×28弾よりも威力があるとアナウンスされているが真偽不明である。

ウルフパックでも軽量かつ高火力を誇ることから警邏任務や偵察、狙撃手のメインアームとしてだけではなく、車両や航空機の自衛用火器としても使用されている。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。