3月に入ると右打席では大振りが見られたコンラッド。12日のヤクルト戦では連続三振【拡大】
ひんやりとした室内で熱血教室が開かれた。関川コーチが手本を示し、コンラッドが何度もうなずく。気がつけば“穴”が埋まっていった。
「ここ何試合か体重移動の際に前に突っ込んでいた。練習の中で修正したかったんだ。試合になると投手との勝負になるからね。試合で力を出せるようにしたい」
C砲は練習が終わり、報道陣に囲まれると律義に通訳を呼び、特訓の意図をコンパクトに説明。この謙虚な姿勢だけで、もう十分だった。
「どちらかといえば右打席の方がそういう傾向があったんだ。練習の中で何とか修正したい、というのがあった」
“穴”が見え隠れしていたというのは自覚していた。ここまでオープン戦9試合で打率・304、1本塁打、4打点。神のように打ちまくった2月の勢いからは、ややペースダウン。特に12日のヤクルト戦で村中から連続三振を喫したように、右打席で天を仰ぐことが多い。オープン戦を通じて左打席の打率・286(14打数4安打2打点)に対して右打席は・333(9打数3安打2打点)と左より打率はいいが、致命傷になる前に、メスを入れられた形だ。
ドクターの関川コーチは指導について「普段話しているようなことだ」と明言を避けたが「彼も分かっているよ」とつけ加えた。その言葉通りだった。C砲は、教えをすぐに血や肉としていた。
「試合になると相手投手が上回ったりする。相手も(自分を)崩そうとしている中でおかしくなったりする。いい結果を残すために練習をする」
3月29日の開幕ヤクルト戦(神宮)で「7番・三塁」に入る男は力を込めた。球団フロントは助っ人勢に対し、聖域なき意識改革を実行する方針を固めた。シーズンに入れば常に結果が求められる。危機感だらけのコンラッドがバットを磨く。(阿部 祐亮)
(紙面から)