新出生前検査 来月から導入へ3月9日 19時20分
妊婦の血液を調べ、胎児に染色体の異常があるかどうか判定する新しい出生前検査について、日本産科婦人科学会は9日、実施にあたっての指針をまとめるとともに、日本医学会が実施施設の認定に当たることを明らかにしました。
これにより新しい出生前検査は、来月から、国内でも導入される見通しになりました。
新しい出生前検査は、妊婦の血液を調べ、胎児にダウン症などを引き起こす染色体の異常があるかどうか判定するもので、全国の20近い施設がアメリカの検査会社の協力で導入を計画しています。
日本産科婦人科学会は9日、この検査の実施指針をまとめ、公表しました。
指針では、生まれてくる子どもに染色体異常のおそれがある場合に限って、専門のカウンセリング態勢が整った施設で検査を実施するとしています。
対象とする妊婦を35歳以上とする案については、ケースに応じて判断する必要があるとして、見送られました。
また、実施施設の認定には、110余りの学会が加盟する日本医学会が当たることを明らかにしました。
専門家で作る部会を新たに設け、学会の指針に基づいて来週から審査を行うということです。
これにより、新しい出生前検査は、来月から国内でも導入される見通しになりました。
記者会見した日本産科婦人科学会の小西郁生理事長は「検査を希望する妊婦に混乱が広がらないよう、産婦人科以外の医療機関や、検査の仲介会社なども、今回の指針の考え方を尊重してほしい」と話しました。
また、日本医学会の高久史麿会長は「今回の検査は、社会的な影響が非常に大きいことから、医学会としても重要な問題と捉え、施設の認定に関わることにした」と述べました。
「社会全体で考える問題」
生命倫理の問題に詳しい総合研究大学院大学の米本昌平教授は「実施施設を限定するなど、慎重に始めたいという姿勢は評価できる」とする一方、「これまでの検査に比べ、簡単な方法で受けられることから、希望者は確実に増える。このサービスを節度ある形で提供していくにはどうすればいいか、今の法律では認められていない、胎児の障害を理由とした人工妊娠中絶も含め、社会全体で考えていくべき問題だ」と話しています。
「サポートするカウンセリングが重要」
ダウン症の人たちとその家族で作る「日本ダウン症協会」の玉井邦夫理事長は「実施施設を限定するなど、以前から私たちが要望してきたことが反映されている印象だ」としたうえで「導入後も、カウンセリングが適切に行われているかどうかなど情報をすべてオープンにして検証していくべきだ。検査を希望する妊婦さんの思いに寄り添いながら、どんな決断であってもサポートするカウンセリングが重要になってくると思う」と話しています。
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