4・28式典:「屈辱」の事実 教育大切

2013年3月15日 09時44分
(7時間34分前に更新)

 「4・28とは何か」-。4月28日の政府主催「主権回復の日」の式典に県内から「沖縄を切り捨てた日を祝うのか」と反発の声が高まる中、元高校教師で県歴史教育者協議会の平良宗潤委員長(72)は「4・28は沖縄でも影が薄くなっている」と話し、解決しない沖縄問題を根本から理解するためにも4・28の教育を見直す必要があると呼び掛ける。現場の教師も「沖縄屈辱の日をきちんを教えなければいけない」と気持ちを新たにしている。

 安倍晋三首相が式典開催を発表した7日、平良さんは「首相は沖縄の戦後史に無知だ」と憤った。一方、現在の沖縄で4・28を詳しく教えているか、という疑問が頭をよぎった。

 平良さんは1966年、首里高で「4・28沖縄を考える特設ホームルーム」を開いた。52年のサンフランシスコ講和条約発効で沖縄の置かれた状況を生徒と教師で議論。翌年の高教組研修会で事例を発表し、4・28の特設授業は全県へ広がった。

 しかし、沖縄が本土復帰した72年前後で、復帰の日の5・15や慰霊の日の6・23に比重が移り、4・28特設授業は姿を消した。「復帰したことで役目を終えた雰囲気になった。時代の流れ」と振り返る。

 一方、不条理は続く。オスプレイの強行配備、米軍普天間飛行場の辺野古移設、米兵絡みの事件事故の対応…。平良さんは反省を踏まえつつ、「沖縄はどこから来て、どこにいて、どこへ行くのか。4・28が何かを教えなければ沖縄の戦後史、解決できないいくつもの課題を理解できない」と話した。

授業は教師頼み

 糸満高校社会科教諭の上江洲由直さん(41)の話 4・28を境に沖縄や奄美、小笠原が分断された事実が詳しく書かれていない教科書が多く、結果として教師の力量にゆだねられている。県教育庁が昨年、復帰40年にちなんで、県立高校に対して復帰教育に力を入れるよう通達を出したことで講和条約にも触れるきっかけができた。授業で初めて知る高校生も多く、あらためてどのような日か、しっかり伝えなければいけない。

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