広島8人殺傷:「仕事で怒られ恨み」社長を最初に襲う
毎日新聞 2013年03月15日 15時00分(最終更新 03月15日 15時08分)
広島県江田島市のカキ養殖水産会社「川口水産」で8人が殺傷された事件で、殺人容疑などで逮捕された中国人技能実習生、陳双喜(ちん・そうき)容疑者(30)=入院治療のため釈放=が、「仕事が遅いことでいつも怒られ、社長に恨みがあった」などと供述していることが捜査関係者への取材で分かった。目撃情報では、殺害された社長の川口信行さん(55)が真っ先に襲われたという。陳容疑者は事件の数時間前にも社長から叱責されたといい、詳しい動機などを調べている。
県警は15日午前、現場検証を始めた。捜査関係者によると、川口さんの頭には殴られた痕、腹には刺し傷があり、陳容疑者が執拗(しつよう)に刺したとみられる。カキをすくうスコップや熊手、殻から身を取り出す刃物「カキ打ち」など、作業場にあった複数の道具が凶器に使われた可能性がある。
陳容疑者は、死亡した橋下(はしした)政子さん(68)に対しても、会社の敷地外に逃げたのを追いかけてスコップで殴りかかったとみられる。橋下さんの腕などには激しく抵抗した痕があった。
同業者や技能実習生仲間などの話では、これまでに川口さん以外の従業員と陳容疑者のトラブルは確認されていない。県警は、陳容疑者が川口さんを襲った後、興奮状態のまま次々に従業員に切りつけたとみている。【黄在龍、石川裕士】