探検・渋谷駅 地下流通システム「フローベヤ」とは3月15日 7時51分
1日およそ300万人が利用する東京の渋谷駅は、15日、半世紀にわたり親しまれてきた東急東横線の駅が営業を終了し、地下の新しい駅に引っ越します。
駅ビルのデパートにある食品街といえば「東横のれん街」ですが、その地下に、半世紀にわたって稼働し続けている巨大な流通システムが存在していたことをご存じでしょうか。
新鮮な肉や魚、高級洋菓子にできたての総菜。
「東横のれん街」は、各地の老舗85店舗が軒を連ね、いわゆるデパ地下の草分けと言われています。
にぎやかなフロアから、とある階段を地下に降りていくと、次々と流れる無人のカゴが、レールに沿ってゆっくりと走っています。
運ぶのはデパートの仕入れ商品で、のれん街をはじめ、各店舗に届けます。
「フローベヤ」と呼ばれていますが、その名の由来は誰も知りません。
半世紀にわたり、渋谷の地下を走り続けて来ましたが、今月で姿を消します。
のれん街が誕生したのは、戦後復興期の昭和26年。
銀座や築地の老舗を一堂に集めたスタイルが山の手の主婦の人気を集めました。
ところが高度成長期を迎えると、ある問題を抱えます。
渋谷駅周辺の交通量が増え、商品を搬入するトラックの横付けが難しくなったのです。
そこで昭和38年、新たな搬入口を設けることになりました。
搬入口は国道を挟み、200メートルほど離れた東横線の高架下です。
そこで考え出されたのがフローベヤでした。
搬入された商品がまず乗せられるのは専用のカゴで、カゴにはピンがついています。
レールの中には動くチェーンがあり、ピンを引っ掛けるとスタートします。
すぐに地上から地下に一気に下ります。
坂の傾きは26度で、倒れないよう設計されています。
通路を従業員も行き交うため、時速およそ1キロの安全運転です。
朝から晩までフル稼働。
1日に行き交うカゴは600から700個にものぼります。
レールは全長420メートルで、地下にある部屋を、縫うように進みます。
およそ10分で、受けとる人が待つ終点に到着です。
フローベヤなくしてのれん街の発展はなかったという人がいます。
のれん街で鮮魚や総菜などを販売する老舗の3代目、森口一さんです。
学生時代から店を手伝い、毎日のようにフローベヤを使いました。
森口さんの店では、魚が築地などから1日5回運ばれてきます。
のれん街の厨房で調理され、即座に店頭に並べられます。
フローベヤがこまめな補充を可能にし、店の味を支えてきました。
東横のれん街は、今月いっぱいで今の場所での営業を終え、来月から近くのビルで新たなスタートを切ります。
50年にわたってにぎわいを陰から支えてきたフローベヤ。
街の生まれ変わりとともに静かにその役割を終えます。
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