仏像返還問題 韓国の寺の僧侶らが来日も、返還しない考え
長崎・対馬市の観音寺から韓国人窃盗団によって盗まれた仏像が、韓国から返還されない問題で、日本に来て、あらためて「仏像は返還しない」と主張する韓国側に、日本の寺も猛反発している。
かつて仏像を所有していたと主張する韓国・浮石(プソク)寺の僧侶は「(きょうは何のために来て、どういう説明をする?)観音寺で話します」と話した。
日本で盗まれた仏像の代わりに持ってきたのは、韓国の国宝をコピーしたという仏像と、寺のマスコット。
長崎県の重要文化財に指定されている対馬市にある観音寺の「観世音菩薩坐像(かんぜおんぼさつざぞう)」が2012年、韓国人窃盗団に盗まれ、現在も返還されていない問題。
14日、かつて仏像を所有していたと主張する韓国・浮石寺の僧侶らが、「対話によって解決したい」と、対馬の観音寺を訪れた。
浮石寺の僧侶たちは観音寺で、閉ざされた扉を前に祈りをささげた。
観音寺側は、面会を拒否する姿勢を見せている。
観音寺の前住職は「交流を深めたいなら、きょう(盗まれた仏像を)背負ってきて、まず元のところに素直に返すべきだと。会いたくもありません」と語った。
一方、韓国の僧侶側は「願いがかなって、観音寺で大事にされていた菩薩様を、もう一度、韓国に仏像が戻って、浮石寺で大事にする、そういう機会を与えてくれたら、心より感謝します」と、仏像は返還しないという考えを示した。
実はこれまでにも、日本で盗まれた文化財が韓国に渡ったとみられたことがあった。
1994年、長崎・壱岐市の安国寺から、国の重要文化財「高麗版大般若経」が盗まれた。
ところが翌1995年、韓国政府は、これとよく似た経典を国宝に指定した。
2つを比べてみると、「大般若」という漢字は筆遣いまでそっくりで、漢数字の部分なども、うり二つだった。
日本政府は、韓国政府に確認を要請したが、協力は得られなかったという。