関西広域連合(連合長・井戸敏三兵庫県知事)が公表した北陸新幹線の三ルート案の試算を踏まえ、県は十一日の県議会政策・土木交通委員会で、県の考え方を示した。福井県敦賀市から米原市を結び東海道新幹線と接続する「米原ルート」案が有利としながらも、地元の費用負担などを関西全体で解決する必要性を挙げた。
県は「国土軸が多重化し、広域交流の促進と発展にも役立つ」と、整備には理解を示したが、関西全体で解決する課題として、県の費用負担と在来線の存続を挙げた。
整備計画が決定された北陸を含む整備新幹線は、建設資金を国が三分の二、通過する都道府県が三分の一負担する「属地主義」が決まりだが、県は通過の有無ではなく各府県の受益に応じた負担を提案。さらに、住民の足である在来線区間(北陸線、湖西線)がJR西日本から経営分離されないようにする−の二つを課題とした。
県の考えを県議会、市町などと協議し、県の判断としてまとめた上で、嘉田由紀子知事が二十八日の関西広域連合の会合で示し、府県市の首長との協議に臨む。
県内を通る二ルート案に、慎重姿勢だった嘉田知事は「関西全体の振興を考えると北陸新幹線は必要。だが、県として誘致するものではない。二点の課題を提起し、県民益が得られるようにしたい」と説明した。
広域連合の三案は「米原ルート」のほか、琵琶湖西岸を通る「湖西ルート」、敦賀市から小浜市、京都府亀岡市を経て大阪につなぐ「小浜ルート」。
広域連合は八日、試算を公表。米原ルートは建設距離四十四キロ、建設費五千百億円、敦賀−大阪間の所要時間四十五分で、湖西ルート(八十一キロ、七千七百億円、三十五分)や小浜ルート(百二十三キロ、九千五百億円、三十三分)に比べて所要時間は長くなるが、建設費は安く、需要や総便益は最も高いとされた。
(梅田歳晴)
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