渡波オイスターズ代表の品野さんは33歳の若いリーダー。育てられている牡蠣も一年子(一年で出荷される牡蠣)と若く小ぶりです。牡蠣は大きい方がいいと思われるかもしれませんが、一概にそうとは言えません。サイズが小さいと、シコシコした食感の外側と、コッテリとした内臓部分を一口で食べることができるのです。こういった小ぶりで凝縮感のある牡蠣は焼いたり、揚げたりして食べるのがベスト。「牡蠣の昆布焼き」はホットプレートなどでも手軽につくることができます。
お話を伺って、佐藤さんと鈴木さんが避難所で偶然出会われたことから、今一緒にお仕事をされているという話がとても印象的でした。料理もそこからヒントを得て、普段はあわせることがない牡蠣とムール貝を一皿にあわせてみました。お雑炊にすることでお米が二つの食材の出会いを繋いでいます。ムール貝はいい出汁がとれる食材なので、スープにしてもいいでしょう。
阿部さんの1000年先を見据えて木を植えたい、という話に感銘を受けました。料理には「牡蠣を食べてもらうことで、森が再生する」というメッセージを込めました。また阿部さんが研究しているのはヨーロッパの牡蠣の味。そこでフランスの生牡蠣のように牡蠣をドレッシングで食べてもらおう、と考えました。ヨーグルトは牡蠣ととてもいい相性なので、お好みで試してみてください。
濃厚系の味で粒が大きいのが狐崎の牡蠣の特徴。狐崎の山の豊かさと、生産者である阿部さんの柔らかさ、優しさを表現できる料理を考えました。ミルキーな狐崎の牡蠣を生かすために、東北の味噌ではなく、あえてクリーミーな白味噌と酒粕、チーズを使った鍋に仕立てています。阿部さんの温かな人柄を味わってもらえるとうれしいです。是非、ご家族でお召し上がりください。
コンロにかけてそのまま蒸せるように、缶に入って届けられる六次化水産の牡蠣。その缶をそのまま使い、同じ三陸の特産品である若布と一緒に蒸し上げます。商品がお家に届いたら、缶の蓋を開けて、同量の酒と水をコップ一杯、そこに注ぎ入れて、コンロにかけ蒸し上げるだけ。牡蠣から出た旨味をたっぷり含んだ汁を吸った若布は絶品です。荒波が育てた力強い味の牡蠣とむっちりとしたワカメ、三陸の海の味を味わってください。
- 長谷川:
- 三陸フィッシャーマンズプロジェクトは「石巻の復興は漁業なくしてはならない」という想いで東北の水産品をブランディングし、新しい水産業を創造していこう、という試みです。今回の牡蠣特集ではTravelling food laboのお二人に取材と料理でご協力いただいたわけですが、そもそもどうしてこの企画にご参加いただけたのか、改めて教えていただけますか?
- 志賀:
- 私たちは日本中の食を支える生産者や職人を訪れて、その仕事を紹介していく活動をしています。今までは農家さんなどが多かったのですが、取材を続けているなかで野菜をつくる里と海が川などを通して、密接な関係を持っていることがわかりました。それで海と一緒に暮らす漁師さんの仕事にも興味は持っていたんです。
- 樋口:
- 僕は料理人の仕事を、単純に美味しいものをつくるだけではなく、その土地や歴史、生産者の想いを料理という形で伝えたり、味わってもらったりすることだと考えています。本当の美味しさってそういうところにあると思う。旅をするようにして日本中をまわり、美味しさとはなにかを研究する──だからTravelling Food Laboっていう名前なんです。
- 長谷川:
- なるほど。たしかに生産者の人って、本当にいい人なんですよ。その人のことを知ると余計に美味しくなるんですよね。それで今回の旅の収穫はありましたか?
- 樋口:
- 海の味の差がこんなに牡蠣に出てくるなんて思ってませんでした。ちゃんと個性がある。個性を生かしたレシピっていうのは大変だったけど(笑)
- 志賀:
- 渡波の牡蠣は一年子、牧浜と狐崎の牡蠣は二年子。私は一年子と二年子の違いが明確にわかったことが面白かったな。一年子は小ぶりだけど、コクがあり、ぷりぷりして、キメが細かい。それに比べて二年子は一言で言えば豊潤。身振りが大きい分、やわらかい。とても対照的な味であると感じました。
Traveling Food Labo(志賀・樋口)
- 樋口:
- 牡蠣の一年子、二年子を選んで買うことなんてなかなかできませんからね。それから牡蠣が世の中に出回るのは12月ぐらいからですが、本当に美味しい旬は3月から4月にかけてです。これをきちんと伝えていきたいですね。
- 長谷川:
- はい、とにかく食べてもらえばわかると思いますので、ぜひ多くの人に食べ比べていただきたいです!