| | 観音寺関係者と面会できず、門前でお経を唱える浮石寺の僧侶ら=対馬市豊玉町小綱
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対馬市豊玉町小綱の観音寺から県指定有形文化財「観世音菩薩坐像(かんぜおんぼさつざぞう)」が盗まれ、韓国で回収された問題で、仏像をもともと所有していたと主張する韓国・浮石寺(プソクサ)の僧侶ら5人が14日、同市を訪問。「仏教徒同士の話し合いで問題を解決したい」として観音寺関係者に電話で面会を求めたが、同寺側は拒否し、「対馬に来たのは自分たちの主張を正当化するためのパフォーマンスだ」と反発した。
浮石寺の円牛(ウオヌ)企画室長(45)ら僧侶2人と韓国の元国会議員、同寺の支援団体メンバーらは、釜山発のジェットフォイルで同日午前、比田勝港に入り、観音寺へ。同寺は施錠され不在だったため、門前でお経を唱え、その場を去った。
円牛室長らは厳原町内で記者会見を開き「われわれも過去に3度の盗難被害に遭っており、慰めのため観音寺を訪れた」と説明。浮石寺住職の手紙と、盗難仏像とは別の銅製仏像、浮石寺のマスコット人形を贈るつもりだったとした。盗難仏像の所有権については14世紀に浮石寺でつくられ倭寇(わこう)が略奪した可能性が高いとし「できれば(浮石寺に)安置したい」と主張。「今後も対馬を訪れる」とした。15日まで滞在予定。
観音寺がある小綱地区では来島前日、防災行政無線で「相手にしないように」と住民に注意喚起。面会を断った同寺の田中節孝前住職は「盗まれた仏像を持って来ない限り決して会わない。日本政府は島民の怒りを理解し返還に全力を尽くしてほしい」と求めた。
観世音菩薩坐像については韓国の地裁が2月、観音寺が正当に取得したことが訴訟で確定するまで返還を差し止める仮処分を決めている。