3月15日は韓米自由貿易協定(FTA)が発効してちょうど1年を迎える日だ。FTAが発効した昨年3月から今年1月までの10カ月間、韓国の対米輸出額は前年同期比で2.67%増加した。世界経済の不振で、この期間の韓国の輸出総額は1.5%減少したが、それと比較すると、韓国は米国市場でFTAの大きな恩恵を受けたといえるだろう。一方で米国からの輸入額は7.35%減少し、対米貿易黒字は前の同じ期間の102億ドル(現在のレートで約9800億円、以下同じ)から147億ドル(約1兆4100億円)へと44%も増加した。工場建設など米国企業による直接投資も32億ドル(約3100億円)と70%ほど増えた。
左翼団体などは韓米FTAの交渉が始まった直後から発効直前まで「経済主権を完全に米国に手渡すものだ」などと激しく反対し、野党は「自分たちが政権を握れば韓米FTAを破棄する」とまで主張していた。しかしFTA発効から1年目の結果は、韓米FTAを「経済の併合」などと批判・扇動する反対派の主張が完全に偽りだったことを改めて立証した。
もちろん1年目の結果だけで韓米FTAへの評価を完全に下すことはできない。韓米FTA発効以降、米国産農水産物の輸入は14%減少し、当初の心配とは異なり農業での被害は特になかった。しかしこれは米中西部で発生した干ばつの影響で、米国の穀物輸出そのものが減少したからだ。そのため今年からは状況が一変することも十分に考えられる。また韓国の中小企業の多くは原産地証明など、米国現地で必要な通関書類を準備するノウハウがなく、米国市場への進出は今なお難しい状況にある。この問題についても早急に対策を立てなければならない。
今年に入って米国と欧州連合(EU)はFTA交渉を開始し、日本は米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加を正式に発表する予定だ。このように将来的には米国、日本、EUの3大経済圏の統合など、通商環境が大きく変動する可能性があるため、韓国はこのような国際的な環境の変化にも確実に備えておかなければならない。