名古屋グランパスのMF田口泰士(21)、MF小川佳純(28)ら主力7選手が14日、ストイコビッチ監督と戦術について討論した。練習の最後に行った青空ミーティング後、約30分間、選手たちが指揮官に意見や質問をぶつけた。これまでグランパスでは監督からほぼ一方通行のミーティングしかなかっただけに、極めて珍しい光景。開幕2戦未勝利で迎える甲府戦へ、チームが一丸となった。
さあみんな、これからの戦術の話をしよう−とばかりに、早春のグラウンドが教室と化した。ミーティング終了後、田口と藤本が中盤での守備について確認し始めると、ストイコビッチ監督が「どうした?」と参加。小川、FW玉田、DF田中隼、阿部も次々と加わり、瞬く間に輪が広がった。最後はMFヤキモフスキーまで加えた7人は、ホワイトボードの前で意見や戦術を確認。選手たちの知性を鍛える30分間の青空討論会だった。
昨年はDF闘莉王が敗戦後に直談判したことがあったが、闘莉王以外の選手が監督と戦術について建設的な話し合いをする場面は見られなかった。試合中も後方から闘莉王の指示が届くことで、迷いは少なかった。小川は言う。「トゥーさんがいつも(指示を)言ってるのもあって、周りはそれに合わせていたけど、前節いなかったので、どうにかしなきゃという意識も芽生えた」。浦和戦での闘莉王不在が、選手たちの自主性を刺激した。
背景には、開幕2節を終えて勝ち点1という現状への危機感がある。田口は「ボールの取りどころがはっきりしなかったし、チームとしての意思を持たなきゃいけない。自分が思っていることも言ったし、あらためて良かったと思う」と振り返った。選手たちの思いに指揮官も歩み寄り、これまでになかった一体感が生まれ始めたグランパス。背水の甲府戦、勝てば流れは変わる。 (宮崎厚志)
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