列車入換用のディーゼル機関車DE10。梅田駅で2台が活躍する=大阪市北区
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夜のJR貨物梅田駅。中央左が「ドーム」=大阪市北区
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頭上をそっくり覆う迫力ある「ドーム」=大阪市北区
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梅田スカイビル
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滝見小路
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汽笛が一つ。
かすれた管楽器のような響きが一瞬、空気を震わせた。
「運転開始、OK」
ディーゼル機関車DE10(デーイートー)の運転士が、鼻先に立ち乗りする操車係の無線による指示に、返した合図だった。
汽笛が二つ、重なった。
列車の最後尾に機関車を連結せよ。操車係の新たな指示に、運転士が「連結開始、OK」と打った相づちだった。
JR貨物「梅田駅」は1928年、大阪駅の貨物取扱所から駅に「昇格」した。以来1世紀近く。周囲に新しいJR大阪駅や高層ビル群が林立する中で、阪神甲子園球場が4個すっぽり収まる約17ヘクタールの空間だけ、取り残されてきた。
貨物列車は、電気機関車に牽引(けんいん)されて駅に入る。だが、荷を下ろす荷役線には架線がない。そこへ列車を移すのがDE10の役目だ。
昔、汽笛はルールだった。それが97年、手順書から削除される。「住環境への配慮」が理由だった。
なのに、今も聞こえる。
「クセやね。体に染みこんでるもんで」
運転士歴40年超の小早川和美さん(65)は、どこか誇らしげだった。汽笛は、禁じられたわけではない。古株は、無線による指示についペダルを踏んで応じてしまうのだ。
来春、梅田駅が廃止される。今度こそ、汽笛は永遠に聞こえなくなる。
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