列車入換用のディーゼル機関車DE10。梅田駅で2台が活躍する=大阪市北区
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夜のJR貨物梅田駅。中央左が「ドーム」=大阪市北区
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頭上をそっくり覆う迫力ある「ドーム」=大阪市北区
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梅田スカイビル
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滝見小路
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■つないで85年 この都会からの卒業
扇状に広がる20本の線路を、長さ500メートルを超す貨物列車が発着する。夜のJR貨物梅田駅は、JR大阪駅や高層ビル群の光の海に浮かぶ、黒い島のようだ。
かつての梅田駅は、東京・汐留と並ぶ陸上輸送の一大拠点だった。高度成長期には、職員は今の5倍、約400人いた。入社したばかりだった操車係・木村礼二さん(62)は「人であふれてたよ。走る貨車に飛び乗るサーカスみたいなこともやってたなぁ」。
JR大阪駅から、荷役線を覆うかまぼこ形のさびた屋根が見える。通称「ドーム」。約50年前に建てられた「新3号ホーム」だ。南北170メートル、東西60メートル、内側に柱のない特殊な立体構造で、「このタイプとしては当時を代表する大規模建築物」(交通科学博物館)として、今なお研究者が見学に訪れる。
ドームは、貨車から出し入れする荷物を雨から守ってきたが、今、その役目はほとんどない。古いタイプの貨車が姿を消し、丸ごとトラックに移せるコンテナに置き換わったためだ。朝日新聞の用紙を運んでくれた貨車「ワム80000形式」も今年3月、ひっそり引退した。
貨物を引っ張る機関車は、電気が主流になった。車両数はディーゼルのほぼ2倍。梅田駅では「桃太郎」など6種類の電気機関車が出入りし、鉄道ファンが金網越しにレンズを向ける。
その傍らで活躍するのが、列車入換専用のディーゼル機関車DE10(デーイートー)。朱色の車体が、梅田駅構内の2キロほどの区間だけを行き来する。
梅田駅は2013年春に廃止され、貨物ターミナルの機能は大阪府吹田市などに分散移転される。87年の国鉄分割民営化で売却方針が決まっていた「最後の一等地」が、ようやく再開発に向けて一歩前進する。
操車係として40年近く梅田駅に勤めてきた松本敏夫さん(61)は来春退職するつもりだ。「ここと一緒に終わりにしたくてね」
今、駅は移転準備に追われている。38代目駅長の成宮禎治さん(53)は「85年。その重みを感じながら、粛々と幕を閉じるのが私の役目です」。
気まぐれに聞こえてくる汽笛に、ふと寂しさがこみ上げる。最後の駅長として、来春の最終列車まで見届けていく。
文・川田俊男 写真・筋野健太
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■アクセス
◆JR貨物梅田駅 JR大阪駅北西すぐ。撮影スポットは阪急中津駅の南側歩道
■スポット
◆梅田スカイビル 地上40階建て、173メートルの超高層ビル。360度の景色が望める「空中庭園展望台」や映画館がある。展望台の入場料は大人700円、中高生500円、小学生300円、幼児(3歳以上)100円 電話06・6440・3899
◆ザ・シンフォニーホール 日本初のクラシックコンサート専用ホール。10月に開館30周年を迎え、記念の「ガラ・コンサート」が14日に開かれる。記念公演は来年3月まで随時開かれる。 電話06・6453・6000(ABCチケットセンター)
■グルメ
◆滝見小路 梅田スカイビル地下1階。昭和初期の町並みを再現した。甘味処やお好み焼き店など20ほどの飲食店が軒を連ねる。
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