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JR梅田貨物駅、15日で取り扱い終了

鉄道員「人集う場所になって」

「最終列車には、『ご苦労さん』と言いたい」と話す松本敏夫さん(右)(大阪市北区の梅田貨物駅で、左は成宮禎治駅長)=守屋由子撮影

 JR大阪駅北側にあるJR貨物の「梅田貨物駅」が今月末で85年の歴史に幕を閉じることになり、15日午後、最後の貨物列車が出発する。跡地は再開発地区「うめきた」2期区域(17ヘクタール)として活用。同駅で約40年間、貨車の入れ替え作業に携わり、駅廃止を機に現役を退く松本敏夫さん(62)は「わが家を失うようにつらいが、多くの人が集まる場所になれば」と願う。

 1928年開業の梅田貨物駅は、「東の汐留、西の梅田」とうたわれた西日本の貨物の拠点駅。72年の取扱量は年間324万トンと現在の3倍で、作業員も5倍の約400人がいた。

 「貨物の仕事に光が当たることはなかったが、物流を支える仕事ができて良かった」と話す松本さんは70年に旧国鉄に入社。同駅で貨車を行き先別に仕分けする作業に携わり、2年前にJR貨物を定年退職後も、関連会社員として同じ作業を担ってきた。

 若い頃は走行中の機関車から貨車を切り離した後、慣性で動く貨車に飛び乗って手動ブレーキで目標位置に止める作業を繰り返し、「ひっきりなしに貨車が行き来し、目の回るような日々だった」と振り返る。

 95年の阪神大震災は今も忘れられない。東海道線の全面開通まで75日間、全国各地から同駅に届く支援物資を、50台のトラックに載せて被災地に送る作業に不眠不休で当たった。

 同駅は旧国鉄の累積債務返済のため、土地所有者の旧国鉄清算事業団が87年に移転と跡地売却を決めていた。駅業務は今後、吹田貨物ターミナル(大阪府吹田市)、百済貨物(大阪市東住吉区)両駅が引き継ぐ。

 かつて梅田貨物駅の敷地の一部だった先行開発区域(7ヘクタール)には、4月に商業施設やホテルなどが集まる「うめきた・グランフロント大阪」が誕生。これまで大阪駅北側は、南側に比べて人通りが少なかっただけに、松本さんは「ようやく北側に日が差し始めたんやから、喜ばなあかん」と笑顔を見せた。

2013年3月14日  読売新聞)
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