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新幹線「新鳥栖駅」開業2年 観光へ効果は | ||
九州新幹線鹿児島ルートは12日、開業して2年を迎えた。佐賀県唯一の停車駅・新鳥栖駅の2年目は、新大阪駅との直通の停車本数が倍増したこともあり、乗降客数は伸びたようだ。春のダイヤ改正で直通の停車本数はさらに増えるが、観光やまちづくりで思うように効果を上げられず、課題は残っている。 「駅前にある600台の市営駐車場が4回満車になった。1年目にはなかったことで、確実に増えたと思う」。鳥栖市新幹線対策係の職員は新鳥栖駅の2年目について、駅前駐車場の利用実績を挙げて手応えを示した。 ■ ■ JR九州によると、同駅の1年目の乗降客数は1日平均約1800人、2年目はこれを上回るとみている。数字は6月に発表予定で、同市は駐車場の実績を目安に乗降客数を推測している。 同市によると、2012年度の駐車場利用台数は月平均約1万4200台で、前年度より800台増えた。観光バスの駐車場も前年度比26台増の月平均96台。乗降客数は確実に増えているようだが、観光への効果となると関係者の実感は薄い。 県や同市、経済団体などは新幹線開業に合わせ、同駅を起点にした旅行ツアーを東京や大阪の旅行会社に提案してきた。代表的なのはアウトレットや吉野ケ里遺跡などを巡り、嬉野温泉に宿泊するコース。しかし、嬉野市が地元旅館約30施設に調査したところ、12年の宿泊者数は前年比3%減。11年は8%増えていただけに、誘客の難しさが浮き彫りになった。 同駅には開業時、新大阪駅直通の「さくら」は7本停車、1年後13本に増えた。今月16日のダイヤ改正でさらに1本増え、広島駅発着の直通も新たに2本加わる。九州観光の玄関口としての期待は高まるが、同市職員は「本州からの修学旅行はいくらか増えたが、一般ツアーは月に数件しかない」とこぼす。 ■ ■ 博多駅からの観光客の引き込みが進まない背景の一つに、料金設定の問題がある。新幹線を利用した旅行商品で新鳥栖駅と本州間を移動した場合、直通の方が博多駅乗り継ぎより片道1400円高くなっている。県と鳥栖市はこれがネックになっているとみており、JR九州に料金差をなくすよう求めている。 同市は観光客誘致策の一環として、同駅を基点とした大分-長崎県との横軸連携にも取り組んでいる。また、観光資源が乏しい地元への宿泊客を増やそうと、会議やスポーツ大会の誘致に力を入れるが、いずれも動き出したばかりで成果が表れるのはこれからだ。 現状で確実に集客を見込めるのは、サッカーJ1サガン鳥栖の試合と5月に開業する九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット)などわずか。駅周辺の土地活用についても、ハイマット以外に具体的進展はない。九州観光の拠点化を実現するには、新たな戦略が必要となっている。 |
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2013年03月13日更新 |