'13 石川・富山 公立高校入試
入試実施後、解答例を公開
【北陸発】性的指向を検査? 「同性好きか」「女性に生まれたかったか」石川県などの採用試験識者 「人権尊重に逆行」「同性にひかれるか」「女性として生まれたかったか」。石川県などの教員・行政職員採用試験で、性的指向を尋ねる適性検査が続けられていることが分かった。性同一性障害や同性愛などの志望者の人権にかかわるとして、関係者団体は改善を求めているが、採用側の腰は重い。識者は「多様な人を採用すべきなのに、性的マイノリティー(少数者)の差別につながる」と指摘する。(松本浩司) 石川県教委は、臨床診断で精神疾患者と健常者を区別するため一九四三年に米国で作られ、世界中で利用されている心理テスト「MMPI(ミネソタ多重人格検査)」の縮小版「MINI−124」を十年以上使用。業者に発注し処理まで任せているため、中身は吟味していない。県人事委員会は行政職員の採用で、「MINI」を二十年以上使っている。 昨夏に教員採用試験を受けた男子学生(22)によると、適性検査の問いは放送で次々と流れた。「神を信じるか」「花屋になりたいか」など多彩な質問に交じり、性的指向を問うものが複数ちりばめられていた。学生は「教委の意図は何なのか探りながら、本当の気持ちと関係なく答えた」と打ち明ける。「教委の考えに沿わない人を排除しようとしているのでは。採用されても嫌な気持ちは残る」。違和感は今も引きずるというが、受験生の立場で声は上げにくい。 この問題は県議会二月定例会でも取り上げられ、木下公司教育長は「心の健康や性格などを測定する一般的な心理テストで、他県でも広く採用されている。客観的な資料として参考にし、性的な傾向を識別するものではない」と答弁。「適性検査も改善を検討していきたい」と話したが、方向性は定まっていない。 岩本健良金沢大准教授(社会学)が、二〇一一年度に教員採用試験をした全国六十六の都道府県と政令市を調べたところ、「MINI」か「MMPI」を導入しているのは石川、富山、福井県や静岡市など十三団体だった。大都市など人権団体が多い地域は導入を避ける傾向にあるという。 性的指向による差別根絶を訴える法務省も問題視しており、一二年六月の衆院法務委員会では滝実法相(当時)が「不用意な導入がどれだけ人を傷つけるか認識が薄かった」と答えた。ただ地方自治体までには十分浸透していない。 教員志望の学生と接する機会の多い杉田真衣金沢大准教授(教育学)は「教員は子ども、職員は県民の人権を尊重すべき立場。採用側が真逆のことをしていたら示しがつかない」と話している。 PR情報
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