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2013.3.14 THU
アルゴリズムの暴走からいかに“市場”を守れるか
TEXT BY WIRED.jp_C
PHOTOGRAPH BY YURI MANABE
SPECIAL THANKS TO MIRAIKAN
為替市場は崩壊寸前!?
W 現在は、主にどのような研究に注力しているのでしょうか。
高安 いまの市場って、コンピューターによる自動売買がものすごく進んでしまっているんです。為替市場でも、90%以上が自動売買、つまりコンピューターのプログラム同士の勝負になってしまっているんです。元々そういう状況は想定されていなかったので、時々、変な動きが出てしまうんですよ。例えば「フラッシュクラッシュ」といって、ほんの数分や数十分の間にありえないぐらい価格が動いて、また戻ったりするとか、いろいろ危ない兆候が見えているんです。あとは、もし仮にプログラムミスしたアルゴリズムが入ってきて、どんなに損でも買い進めていってしまったとき、止める手立てがないんです。株式市場だと値幅制限がありますが、為替にはありませんから。例えば1ドル100円くらいだとしてもほんの数十分の間に50円になってしまうことが起こりうる状態なんです。そういう状況を、なんとかしたいなと思っています。
W 想像以上に危機的ですね……。具体的にはどういった対策を?
高安 ひとつには、いまある細かなデータを分析して、少なくとも人間がやっていたころとどう変わってきたのか、どういう方向へ向かっているのかを調べることですね。為替を解析するために入手できるデータは、最も細かくて0.1秒刻みなのですが、普通の経済学者は、そんなデータには興味をもちません。こういったデータを見ているのは例えばヘッジファンドの人たちですが、彼らは儲けるほうに目が行っていますから、もし仮に市場を安定させるノウハウを見つけたとしても公開しないでしょうしね。
W 大発見があってもみんなの共有知識にはならないということですね……。
高安 でも物理の歴史を振り返ってみると、例えば熱機関が発明された直後は、みんな永久機関をつくろうと必死になっていましたが、そのうちエネルギー保存だとかエントロピーの増大だとか、基本的な物理法則が抑えられてくると、その熱も収まっていくんです。いまも、それに近い状態ではないかと思います。
W 最後に、経済物理学の側面から見ると、人間というのは、おかねに対してどのような特性をもっているように見えますか?
高安 統計的に見ると個性は消えるのですが、ひとつ面白いのはトレンドフォローといって、価格がある程度同じ方向に動くと、それについていこうとする傾向がありますね。これは物質にはない特性で、これがバブルや大暴落の引き金になるんですよ。
『波瀾万丈! おかね道─あなたをうつし出す10の実験』
日本科学未来館1階 企画展示ゾーンaにて開催中
(6月24日まで)
10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
火休(祝日と春休み期間中は開館)
入場料:一般 大人¥1,000、18歳以下¥300/団体 大人¥800、18歳以下¥240
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2013.03.15
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