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阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

金正勳准教授の経歴について慶應義塾への質問状

2012年06月21日 [leaks]

慶應義塾の塾長、清家篤氏に申し上げたい。そりゃ、ないでしょう。

大学院政策・メディア研究科の金正勲特任准教授の経歴詐称疑惑について、本誌の7項目の質問状に対する塾の返答は、およそ教育者たる資格があるのかと思われるほどのひどさだった。

1)~7)の質問にはお答えできません。

たった1行、これだけである。金准教授のブログでは、肩書に「特任准教授」と「特任」を入れなかったこととハーバード大学のvisiting Scholar を「客員教授」と訳してしまったミスだけを詫びている。

そんな生易しいものでないことはお分かりになったはずだ。中央大学の学部卒業時に提出した「コミュニケーション論」を除けば、どこにも彼の査読論文がみつからない。論文も書いてない人間ということは、学者ではないということだ。それがハーバードはおろか、オクスフォード上席研究員、ドイツ国防大学上席研究員を「詐称」したのだ。

慶應はちゃんと調べたのだろうか。インディアナ大学博士課程修了とあるが、博士論文の実在を大学自体が否定していることを。てことは、この人は何だったのか? 

それを問い合わせた弊誌に、「お答えできません」はないでしょう。懲らしめに送った質問状を公開しましょう。

慶應義塾大学大学院
政策・メディア研究科(KMD)御中

金正勳特任准教授の経歴についての質問状

ファクタ出版株式会社
月刊FACTA発行人 阿部重夫

拝啓

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。弊誌は調査報道を中心とする総合誌で、オリンパス報道などでお聞き及びかと存じます。弊誌は09年3月号で慶應義塾の400億円運用損問題、10年2月号で慶應評議員選挙の内情、11年2月号で安西前塾長のNHK会長話などを報じ、発行人は政策・メディア研究科と同時に発足したシステムデザイン・マネジメント科(SMD)で手嶋龍一教授の授業に協力したこともございます。弊誌はいま、一部ウェブサイトなどで指摘されました政策・メディア研究科所属の金正勳特任准教授の経歴問題について取材中です。

金准教授はその著書やサイトなどで以下のような経歴を記載しておりました。

直近は修正されて以下のように書き直されています。

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任准教授。韓国生まれ。日本に国費留学。米インディアナ大学博士課程修了。2004年より、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構助教授、2009年より現職。英オックスフォード大学客員上席研究員、ハーバード大学法科大学院visiting scholar等を歴任。

ブログ:http://kimkeio.typepad.jp/blog/

この点について下記のような質問を作成しました。

1) ハーバード大学、オクスフォード大学、ドイツ連邦国防大学等に確認したところ、修正前の経歴はいずれも事実でなく、修正したのはその指摘を受けたからでしょうか。

2) 単なる誤記とは考えられず、詐称と考えますか。当研究科はこの経歴問題の事実経過や紹介者を調査し、金准教授の解任など関係者の処分を検討していますか。

3) 金准教授は政府のIT戦略会議などの民間委員の肩書を持っていますが、経歴詐称の人物を政府機関に送り込んだ責任は誰にあると考えますか。

4) IT戦略会議などの政府資料が韓国などに漏れているとの指摘があり、金准教授が流したかどうか研究科として調査していますか。

5) 金准教授は韓国のNAVERとの関係(親会社の諮問委員)が指摘され、住居も六本木ヒルズとされ、その収入について疑問が出ています。研究科は彼の背景を調べましたか。

6) 中村伊知哉、国領二郎教授らと金准教授は親しい関係と見られますが、有力教授とはどう関わっているのでしょうか。

7) 金准教授はメディアコミュニケーション研究所に学生と金正勳研究会を持っています。学生には今回の経歴問題をどう説明しているのでしょうか。

質問は以上です。恐縮ですが、次号の締め切りの都合上、6月11日(月)までにメール、ファクス、郵送、または電話でもご回答願えますでしょうか(4月には政策・メディア研究科の夏野剛特別招聘教授にメールでご回答いただきました)。可能なら金正勳准教授に直接インタビューして、ご本人の釈明をうかがいたいと存じます。

よろしくご一考のほどお願い申し上げます。   敬具

6月5日

「特任」とは慶應にカネを積んで得た肩書ということだ。つまり、金准教授はどこからか金をひっぱってきて慶應のポストにありついた。慶應はカネさえ積めば、身体検査などしないのだ。ま、キャンパスの片隅をうろうろしているくらいなら、私学だからいいだろう。けれど、彼はゼミを持っている。そのゼミ生たちはすでに6期生に及んでいる。

あわれ彼らは生涯、経歴詐称の准教授に教わった負い目を背負いながら生きていかなければならない。

「あなた、慶応のどこのゼミを出たの?」
「え、え、それは……」

かわいそうでしょ、慶應はそれをどう考えるのか。

何もしないでほっかむりする気なら、金ゼミのウェブページを紹介しよう。「一生の恥」を背負った生徒名が麗々しく並んでいる。

1期生
2期生
3期生
4期生
5期生
6期生

彼らゼミ生への金准教授の「贈る言葉」を本にしたのが、ダイヤモンド社の『媚びない人生』だ。18日に日経朝刊3ページで、ダイヤモンドはこの本の大宣伝をしていた。

金准教授は先週、知り合いを通じて弊誌発行人に接触を図った。が、雑誌に記事が出ると聞くや、腰砕けになり、「記事を読んでから」と後退、あげくになしのつぶてだ。

「未熟と傲慢」を反省して夜も眠れないとあるが、当然でしょう。贋学生ならぬ贋教師なんだから。7月には日本を逃げ出して、なんとハーバードにtraining scholarで行くという話も聞こえてくる。客員教授を名乗った人が、ずっと格下のポジションでやり直しとは。だけど、それじゃ、とうていハーバードの客員教授にはなれなさそうですね。

そもそも、論文を書けるかも疑問だ。著書の「逆パノプティコン」だって聞きかじり。ミシェル・フーコーの『監獄の誕生』くらい、ちゃんと読んでるのだろうか。ウィキリークスに乗じて、大衆監視の未来社会を書いたつもりが、じぶんの素性が暴かれたんじゃ、開いた口がふさがらない。

投稿者 阿部重夫 - 16:00| Permanent link | トラックバック (3)


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発行人 阿部重夫

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

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