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'13/3/14

尾道松江線経由のバスに期待




 広島と出雲地方を結ぶ高速バスを運行する4社は13日、中国横断自動車道尾道松江線の松江自動車道三次東ジャンクション・インターチェンジ(JCT・IC、三次市)―吉田掛合IC(雲南市)間の30日開通を前に、開通区間でバスの試走をした。広島―松江などのバス路線は鉄道と競合しにくい「ドル箱路線」。各社は、新車導入や増便で一層の利用増を期待する。

 試走には、一畑バス(松江市)広島電鉄(広島市中区)中国ジェイアールバス(南区)備北交通(庄原市)の社員約70人が参加。バス5台が三次東JCT・IC―雲南吉田IC(雲南市)の約45キロを往復した。制限速度やIC付近の停止線を確認しながら約2時間かけて走った。

 4社は広島、三次市と松江、出雲、庄原市を結ぶバスについて、4月1日から新区間で運行する。広島―松江の所要時間は3時間15分から2時間52分へ23分短縮。数字以上に乗客の期待は大きい。

 月に2、3回松江市に出張する広島市東区の会社員男性(37)は「朝早くの便が増えて仕事がしやすくなる。カーブの多い現在のルートと違い、高速道なら車中で本やパソコンも開ける」と喜ぶ。

 出雲市の店舗へ出張に行く際、バスを使っている地場流通大手イズミ(広島市南区)の総務担当角川みどりさんは「今は渋滞で4時間以上かかることも多い。高速なら時間が読める」と期待する。

 各社はバスの魅力アップを進める。広島電鉄は一畑バスと共同運行する広島―松江の路線で、新車を2台走らせる。従来より座席や通路、トイレが広い。バスの購入費用は1台3800万円で従来型より約100万円高。広電の岡本繁取締役は「山陰―山陽間はバスが鉄道に勝てるルート」と強調する。

 JRで広島駅から松江駅まで行く場合、岡山駅経由で新幹線と特急を乗り継ぐと最短3時間10分かかる。運賃は往復1万7420円とバスの2倍以上。開通でバスの優位性はさらに高まる。

 中国ジェイアールバスは、一畑バスと共同運行する広島市と出雲市を結ぶ路線を、高速道経由に変え1往復増やして9往復にする。出雲大社への直通も1便設ける。「開通に合わせて認知度を高める」とし、チラシなどの広告宣伝費を3倍に増やした。

 一方、開通区間は通行料が無料のため、自家用車との競合は厳しくなる。一畑バスの吉田伸司常務は「自家用車に流れるのを食い止める対策が一層必要になる」と受け止める。

【写真説明】開通前の松江道雲南吉田IC付近を試走する高速バス(13日)




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