女子柔道暴力問題:「女性監督導入を」全柔連第三者委提言 上村会長は続投
毎日新聞 2013年03月13日 東京朝刊
柔道全日本女子の暴力問題を調査してきた全日本柔道連盟の第三者委員会は12日、暴力根絶に向けた提言を込めた報告書を全柔連に答申した。東京都文京区の講道館で、前検事総長の笠間治雄委員長から報告書を受け取った全柔連の上村春樹会長は、自らの続投を明言した上で、18日の理事会で、暴力根絶宣言を出し、組織刷新に乗り出す方針を示した。
答申後に講道館で記者会見した笠間委員長は「全柔連は、柔道をやってきた人たちだけの集まり。柔道の伝統に頭の中が支配されている。我々(外部)からみると『暴力じゃないのか』ということも『暴力でなく指導』という感覚から抜けきれない。外の風を入れることが大事だ」と強調。5本の柱で構成した提言では、法曹関係者らの執行部への登用、女性監督の導入など組織の多様化を求めた。
上村会長も取材に応じ、節目を迎えての自らの去就について「答申を実行していくのが私の仕事」と述べ、緊急度に応じた3段階で改革を進める方針を示した。まず18日の理事会で暴力根絶を宣言し、新たな指導指針を作成。新たな女子監督も決める。中期的課題として6月の理事会までに、第三者や女性の理事登用を協議。組織改編を伴うものは、さらに時間をかけ長期的に議論するという。
また今回の問題で、引責辞任した園田隆二・女子監督らとともに連帯責任で文書による戒告処分を受けた田辺勝・監督代行と2人の女子コーチが処分の見直しを訴えている点で、第三者委員会は2人の女子コーチについて「弁解の機会を与えていない点が手続き的に不適切である」などと指摘。上村会長は近く、田辺監督代行も含めた3人の処分の見直しを協議する意向を示した。【藤野智成】
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◇第三者委員会の改革提言◇
(1)明確な指導方針の提示と徹底
▽暴力禁止を盛り込んだ指導指針の作成
▽暴力的指導に対する資格剥奪制度の制定
(2)全柔連組織の改革
▽法曹関係者ら複数の第三者の執行部登用
▽複数の女性理事登用
(3)強化システムの再検討
▽監督・コーチ人事の明確化
▽代表選手選考の説明責任
▽女性監督・コーチの導入
(4)法令順守の徹底
▽女性対象の相談窓口の設置
(5)危機管理体制の整備
▽不祥事の際、迅速な内部調査委員会発足