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【大リーグ】

通算612本塁打のトーミ 引退危機 現役続行希望もオファー来ず

2013年3月14日 紙面から

 通算612本塁打(歴代7位)を誇る指名打者(DH)兼一塁手のジム・トーミ(42)=オリオールズからFA=が引退危機にある。本人は現役続行に意欲満々だが、春季キャンプ半ば、公式戦開幕まで約3週間となった12日現在も、正式なオファーが一切ない。自主トレ続行中で「チームから獲得したいとの連絡があれば、すぐに飛んでいく」と気力、体力とも充実しているというが、守れないベテランDHに対する各球団の態度は昨今冷たく、このまま“隠居”も十分にありうる。

 現役を退くつもりは毛頭ないのに、一向に納得できるオファーが来ない。米放送局FOXスポーツ(電子版)など複数メディアによると、トーミは今、極めて“中ぶらりん”の状態なのだという。「(キャンプ参加の)準備はできているのにな…」とトーミ。待てど暮らせど届かぬ“朗報”に現役続行意欲も最近はややしぼみ気味だ。

 フィリーズとオリオールズでプレーした昨季のイメージが良くなかった。頸椎(けいつい)ヘルニアを患い、手術・リハビリなどで出場は計58試合にとどまり、打率も2割5分2厘。8本塁打、25打点と中軸を任せるDHとしては物足らない数字ばかりだった。

 「でもマイナー契約はごめんだ」というプライドも契約を阻害している。1991年にメジャーデビューし、2002年まで12年間在籍した古巣インディアンスからマイナー契約の打診がこの冬あったが、メジャー昇格を確約されていない条件だったために蹴ってしまったという。

 インディアンスはその後、通算429本塁打を誇るジェーソン・ジアンビ(42)=前ロッキーズ=とマイナー契約。オリオールズ退団後、唯一の“お誘い”も今は無効となっている。

 ナ・リーグはDH制を採用しておらず、もともと選択肢は30球団分の15球団と半分に絞られる。かつての輝きがうせ、“勤続”疲労でけがのリスクも高いベテラン獲得に各球団が二の足を踏むのは自然な流れだ。

 1年のブランクは、投手ならば肩を休める“お休み”となり、現場復帰も比較的たやすいが、打者にとっては致命的。プライドを捨て、マイナー契約を取り付けて力でメジャー昇格を勝ち取る道を選ぶか、誇りを保ったまま潔くユニホームを脱ぐか、トーミは二者択一の選択を迫られている。

 

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