これが言いたい:NHK受信料の一部で臨時災害FMの移行支援を=石井彰
毎日新聞 2013年03月14日 東京朝刊
岩手・宮城・福島3県では24の自治体で臨時災害FMが開設され、現在も放送中の18局のうち数局の移行が難しいという。コミュニティーFM設立には自治体の支援や地元企業の広告が欠かせない。しかし、大きな被害を受け、放送局員の確保や番組スポンサー集めが困難だ。
そこで一つ提案がある。公共放送としての機能を持つ臨時災害FMに、私たちが払うNHK受信料の一部を充当できないだろうか。約6269億円の受信料の1%=62億円を基金として、コミュニティーFMへの移行を資金面で応援するのだ。受信料値下げより、むしろこうした使い方が公共放送としての役割だと思う。
筆者は1月から市民がスポンサーとなり制作するラジオ番組「ラジオフォーラム」を始めた。500人余の市民が提供した866万円のお金を基に、週1回1時間の報道系トーク番組を制作・出演している。全国38のコミュニティーFMとカナダの日本語ラジオ局で放送中。4月からは地方民放局での放送も始まる。ラジオを元気にする、広告収入だけに依存しない新しい試みに注目してほしい。
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■人物略歴
◇いしい・あきら
TBSラジオ「永六輔の誰かとどこかで」の演出など。共著に「大震災・原発事故とメディア」。