★★★☆の作品


題名 『紫電改のタカ』
作者 ちばてつや
掲載誌 「週刊少年マガジン」
連載期間 1963〜65年
寸評 太平洋戦争末期の飛行機乗りの話。滝城太郎は「逆タカ落とし」というアクロバティックな戦法を破られてから、「新戦法」という新たな戦術で米軍機を次々に撃墜していく。が、それがどんな戦法なのか結局わからなかった。最後は日本の敗北を察知しながらも、特攻隊員として飛び立っていく。


題名 『リボンの騎士』
作者 手塚治虫
掲載誌 「なかよし」
連載期間 1963〜66年
寸評 天使のいたずらによって、男と女の心の二つの心を持ってしまったシルバーランド国の王女サファイアの物語。『リボンの騎士』は4回も連載されていて、4種類の『リボンの騎士』あるけど(最初の連載は1953〜58年「少女クラブ」)、これは3回目。ムダのないキャラクター配置、緻密なストーリー展開、完璧な物語をさらっと描いてます。少女漫画でも天才を発揮する手塚治虫の懐の深さ。


題名 『空手バカ一代』
作者 作・梶原一騎 画・つのだじろう→影丸穣也
掲載誌 「週刊少年マガジン」
連載期間 1971〜77年
寸評 極心空手の創始者、大山倍達(ますたつ)の伝説的生涯。手刀でビール瓶を割った。指先で10円玉を曲げた。電信柱を突いたらスズメが落ちてきた。素手で猛牛と対戦した、などなど梶原一騎の創作お伽話が炸裂。もはや空手バカではなくバカ空手。スポーツ化した寸止め空手を「空手ダンス」と言い放ったのはあまりにも有名。でも、見るべきところはつのだじろう作画の巻まで。あとは弟子たちの話。


題名 『魔太郎がくる!!』
作者 藤子不二雄A
掲載誌 「週刊少年チャンピオン」
連載期間 1972〜7?年
寸評 いじめられっ子の浦見魔太郎が、特殊な能力「うらみ念法」で陰湿な仕返しをするブラックな作品。「う・ら・み・は・ら・さ・で・お・く・べ・き・か」は有名な決めゼリフ。最終回では、自分が魔族の仲間で、両親も本当の親ではないと知らされる。魔族から東京を暗黒世界にせよとの指令を受けるが、親や数少ない友人たちに迷惑をかけないように、すべてを捨てて魔太郎はどこへともなく姿を隠す……。


題名 『ブラックジャック』
作者 手塚治虫
掲載誌 「週刊少年チャンピオン」
連載期間 1973〜7?年
寸評 天才的なメスさばきで法外な手術料をとる外科医ブラックジャック。彼を異形の姿にし、母親の命を奪った爆発事件の張本人たちへの復讐という根幹となるストーリーは、たまに思い出したように描かれる。ブラックジャック先生を慕うピノコがけなげでいい。うそだかほんとだかわからない大量の医学知識がちとうっとうしいかな。


題名 『エリア88』
作者 新谷かおる
掲載誌 「週刊少年サンデー」
連載期間 1979〜8?年
寸評 親友の裏切りで、中東国アスランの外人部隊に入れられてしまった戦闘機乗り・風間真(しん)の物語。親友の神崎に裏切りの真意を質すため、日本にいる恋人に再会するため、真は外人部隊で賞金を稼ぎ続ける。ミッキー、グレッグなど外人部隊の個性的な仲間たちもいい味出してる。絵柄は少女漫画然としてるんだけど、男の世界。


題名 『キャプテン翼』
作者 高橋陽一
掲載誌 「週刊少年ジャンプ」
連載期間 1981〜88年
寸評 ジャンプ黄金時代を支えたサッカー漫画の元祖といった作品。サッカー少年大空翼の夢は、日本のワールドカップ優勝。だが、当時出場すらしたことのないW杯の優勝は、まさに絵空事。でも、Jrユース大会では、イタリア、アルゼンチン、フランス、西ドイツを敗って優勝しゃうんだな。漫画だからいいけど。だってメンバー的にもすごい。決勝戦を例にとると、FWに日向(東邦)、新田(大友)の2トップ。MFに翼(南葛)、岬(フランス)、佐野(比良戸)、沢田(東邦)。DFに石崎(南葛)、早田(東一中)、次藤(比良戸)で、松山(ふらの)がスイーパー。GKに若林(ハンブルグ)。リザーブにも若島津(東邦)、立花兄弟(花輪)、三杉(武蔵)など超豪華。と、知らない人にはなんのこっちゃって感じか。基本的な流れは「強敵→勝利→友情」の無限ループ。少年誌のスポーツ漫画だけあって、女子マネージャーとの淡い恋を折り込むなど類型的。ってか、ふつー。でもいいよ、ふつーな学校生活。おれもしたかったね。


題名 『童夢』
作者 大友克洋
掲載誌 「アクションデラックス」
連載期間 1983年
寸評 高層団地でくりひろげられる超能力少女VS超能力おじいちゃんの壮絶バトル。詳細に描かれた団地がガンガンに破壊される。その他の登場人物は3浪のダサ学生、赤ちゃんが死んで気がふれたお母さん、知恵遅れの大男、アル中のおっさんなど、どっかで道をふみはずしちゃった感じの人ばっか。


題名 『ホワイトアルバム』
作者 安達哲
掲載誌 「ヤングマガジン」
連載期間 1988年
寸評 安達哲のデビュー作。例によって希望のない高校生たちの暗い青春物語。もし高校時代に戻れても、また退屈な日々を繰り返すばかりで、想い出のアルバムは真っ白なまま。でも、それだからこそ今度こそは、そのホワイトアルバムを塗りつぶすようなまばゆい楽園に連れてってと願うラストシーンは、実にせつない。とか言って、おれから見たら全然楽しそうな高校時代だけどね。


題名 『MASTERキートン』
作者 作・勝鹿北星 画・浦沢直樹
掲載誌 「ビッグコミックオリジナル」
連載期間 1988〜94年
寸評 考古学者にしてフリーの保険調査員の平賀=キートン・太一は、かつてSAS(英国特殊空艇部隊)のサバイバル技術の教官(マスター)でもあった。のほほーんとしながら意外なものを武器にして危機を脱するキートン先生がカッコいい。娘の百合子との親子関係も理想的。考古学、美術史学、保険、サバイバル技術など雑学的知識が豊富に詰め込まれていて、読むとちょっぴり勉強した気になる。


題名 『機動警察パトレイバー』
作者 ゆうきまさみ
掲載誌 「週刊少年サンデー」
連載期間 1988〜94年
寸評 近未来の東京で、作業用ロボット「レイバー」による犯罪を取り締まる警視庁警備部特車二課第二小隊の物語。躍動感のあるレイバーの描写が見事。泉野明(のあ)、篠原遊馬(あすま)らクセのある若い隊員をゆるーく束ねる後藤隊長はけっこう理想的な上司じゃないだろうか。劇場版のほうが有名だけど、あれは設定だけを借りた押井守の世界。個人的には原作のほうが好き。


[まんが道]