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全日本柔道連盟(全柔連)の幹部らが、独立行政法人日本スポーツ振興センターから指導者に支給される助成金の一部を不正に徴収していた疑いが13日、浮上した。複数の関係者によると、指導者一人当たり年間120万円の助成金のうち、40万円を幹部が指定する口座へ振り込むよう指示していたという。少なくとも昨秋まで4年間続き、一部は飲食や接待に使われていた。過去には使途が不明なものもあり、全柔連の上村春樹会長(62)はスポーツ報知の取材に対し「私は知らない」と述べ、実態の解明に乗り出す考えを示した。
全柔連が指導者への個人助成金の徴収を始めたのは、08年の北京五輪後で、ロンドン五輪を終えた昨年9月頃まで4年間続いた。ある指導者は「昨年10月に振り込もうとしたら、もう終わったと言われた。何に使っていたのか分からないが、おそらく全員が徴収されている」と明かした。
12年度は、全柔連の指導者47人が助成金を受けた。四半期ごとに30万円ずつ振り込まれ、そのたびに全柔連関係者から連絡があり、10万円の振り込み、口座名義と番号、期限などを指示されたという。領収書はなかった。振り込み口座は全柔連関係者の個人名義で、途中から団体名義の口座に切り替わったという。別の指導者は「上から出せと言われたら断れない」と半ば強制的に徴収されていた実態を明かした。
日本スポーツ振興センターによる「選手・指導者スポーツ活動助成」は、日本オリンピック委員会(JOC)が定めるオリンピック強化選手と、その指導者を助成している。助成金は、個人口座に振り込まれる。競技団体が寄付の形で個人から上納を要求することは、JOCが禁じている。
今回の助成金徴収問題について、上村会長は「全柔連の口座に、そんなお金は一切入っていない。事実だとすれば、裏金ということになる。大変な問題だ」と述べ、速やかに調査に乗り出す考えを示した。
全柔連の強化委員会幹部は、スポーツ報知の取材に対し「(口座を管理していた吉村和郎)前強化委員長から昨年12月に引き継いだ。強化委員会の親睦会費と聞いている。海外との交流、接待や懇親会費として使っていた。会計報告をすれば問題ないと聞いている。これからは帳簿をつける」とプール金の存在、使用を認めた。
仮に全員から徴収していたなら、12年度だけで徴収金は1880万円にのぼる。昨年までの帳簿、通帳は存在せず、使途が不明なものもある。「親睦会費なんて初めて聞いた。今まで会計報告などない」と話す指導者もいる。会長が把握していないプール金の存在は、新たなスキャンダルに発展する可能性さえある。
◆スポーツ振興基金助成 国庫からの出資金(250億円)などの運用益とサッカーくじ「toto」の収益金が財源。選手・指導者スポーツ活動助成はJOCが認定する各競技の五輪強化選手に個人口座へ直接支給する。競技力によりエリートA、B、ユースエリートとランクを分けて年間、各240万円、120万円、60万円を支給。エリートA、Bの指導者にも年間120万円を支給し、複数の選手を担当しても同額。今年度は選手438人、指導者230人に約8億円が助成された。
(2013年3月14日06時05分 スポーツ報知)
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