「民族的英雄の名でドラマなんて言語道断」

IU主演ドラマ『最高だ、イ・スンシン』放映禁止仮処分を申請したコ・ヒジョン氏

 「インターネットで『イ・スンシン』と検索するとIU(アイユー)が出てくるなんて話にならない」

 11日、人気女性シンガーIU主演の週末ドラマ 『最高だ、イ・スンシン』(KBS第2)に対し、裁判所に「放映とタイトル・主人公名の使用禁止仮処分申請」(本紙12日付報道)を出した団体「DN(Designed Nations)」の代表は、34歳の女性コ・ヒジョン氏だ。李舜臣(イ・スンシン)将軍は壬辰倭乱(じんしんわらん、文禄・慶長の役)で日本軍と闘った民族的英雄なので、その名をドラマに使用することは許せないというのだ。同氏は昨年、在韓日本大使館前にある従軍慰安婦を象徴する少女像に「竹島は日本固有の領土」と書かれたくいを設置した政治団体「維新政党・新風」鈴木信行代表を、元慰安婦に対する名誉毀損(きそん)だとして検察に告発した人物でもある。

-なぜKBSのドラマに対し仮処分を申請したのか。

 「民族の英雄の名を戯画化することはKBSという公営放送が追求すべき価値観に合致しない。さらに、こうしたドラマを作った制作会社のパートナーに、日本最大手の広告代理店・電通とフジテレビが含まれていることも見過ごせなかった」

-日本や過去の歴史に関する訴訟・異議申し立ては初めてではないが。

 「(元従軍慰安婦や支援者が日本政府に公式謝罪・法的補償を求めるため、在韓日本大使館前で行っている)水曜集会に3-4年前から参加してきた。(昨年8月15日に東京・靖国神社前で1人デモを行い、日本人から暴行を受けたと訴えた、タトゥー〈入れ墨〉)アーティストのイ・ラン氏の救済運動もしていた」

-「少女像くい事件」訴訟は、社会的に大きな反響を呼んだ。

 「国民は憤っているのに、処罰の根拠がなかった。欧州諸国のように『戦争犯罪賛美罪』があったなら、韓国もあの人物を処罰できただろう」

-「DN」はどんな団体なのか。

 「20代のとき、英国ロンドンに語学留学した。その時、韓国人学生だけでなく、ポーランド・フランス・ドイツの学生たちと歴史問題について討論したが、当時の関係が今も続いている。お互い連絡を取り合っており、何人でも集まれるときに集まる」

-歌手PSY(サイ)が昨年、ソウル市庁前で公演した時にPSYと朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長を告訴しようとして非難を浴びた。

 「告訴はしていない。しかし当時、PSYの公演には盗作と思われる部分があった。私はデザイナーなので、クリエーターの権利は守らなければならないと考えている」

-インターネット上の書き込みを見ると、「目立とうとしている」と批判する声もあるが。

 「『少女像くい事件』以降は支持する人が多かったが、PSY公演後は私のことを『PSY告訴女』と責める人もいた。私のブログに約5万人が押し掛けたほどだ。しかし、目立ちたいがために何年も水曜集会に出る人はいない。信念の問題だ。今回の公営放送に対する問題提起で事の本質が見えなくなるのではと心配している」

-今後はどんなことを計画している?

 「日本による植民地支配期に被害を受けた元慰安婦たちの問題を国際司法裁判所に提訴するため、全世界の人々が共感できるよう事前作業をしている。各地で繰り広げられているクリエーターの権利侵害に関する事例も集め、8月ごろ結果を発表する予定だ」

シン・ドンフン記者
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