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【政治】

自民反対派、あっさり了承 TPP交渉

 自民党は十三日の環太平洋連携協定(TPP)対策委員会で、安倍晋三首相(党総裁)の交渉参加方針を受け入れた。コメが日米の事前協議で議題にならないことが判明。日本が関税を撤廃せずに聖域として残したい項目がどこまで守られるのか不安が高まる中、自民党はあっさりと交渉入りを受け入れた。 (清水俊介)

 自民党は、首相が先月下旬の日米首脳会談後に「聖域なき関税撤廃が交渉参加の前提条件ではないことを確認した」と表明したのを受けて、党執行部が交渉参加の判断を首相に一任。事実上、参加を容認していた。

 TPP反対派は、交渉参加自体は「政府の専権事項」であるためやむを得ないと判断。分野ごとに具体的な要求を政府に突きつけることで妥協した。

 首相は高い支持率を維持している。現状では、反対派も表立っては反対しづらい。夏の参院選を前に、党内ががたついている印象を与えるのは得策ではないとの判断もはたらいた。

 十三日の会合で、議員が発言したのは一時間程度。首相を激励したり注文を付ける議員はいたものの、徹底抗戦を主張する議員はなく、最後は交渉参加を容認する決議が約百五十人の出席者の拍手で了承された。

 執行部が当初提示した決議案は「脱退も辞さない覚悟で交渉に当たるべきだ」との文言だったが、「脱退も辞さないものとする」と表現を強めることで納得してしまった。修正されたのは二カ所だけだった。

 反対派議連会長の森山裕氏は会合後、記者団に「(首相が)熟慮して判断するなら、尊重しないといけない」と述べた。

 しかし、カナダ、メキシコ両国が昨年交渉参加した際、既に参加していた米国など九カ国から不利な条件の受け入れを求められたことや、米側が日本との事前協議で自動車や保険に関して「あまりに不公平」(民主党の前原誠司衆院議員)な要求をしていたことが明らかになった。日米政府間の事前協議で、コメなどの農産品の関税維持はこれまで議題にせず、今後も議題として取り上げないことも分かった。

 TPP参加が国民生活に大きな影響を与えないのか、分からないままだ。首相は決議にあるように、十分な情報を国民に提示し、戦略的方針を確立することが求められる。

 

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