厚労省、子宮頸(けい)がんの予防ワクチンめぐり専門家会議
20代から40代の女性が多く発症し、日本国内で年間およそ2,700人が亡くなっている子宮頸(けい)がん。
国は、患者数の増加を受けて、ヒブ・小児用肺炎球菌とともに、子宮頸がんの3ワクチンを原則無料化とする、定期接種化を4月から実施することにしている。
医療ジャーナリスト・医師の森田 豊氏は「ワクチンでがんが予防できるというのは、医学の歴史を振り返ってみても、非常に画期的なことだと思う」と話した。
こうした中、厚生労働省の専門家会議で11日、子宮頸がんの予防ワクチン「サーバリックス」を2012年までの3年間に接種した延べ684万4,000人のうち、その0.014%にあたる、984人に副作用があったことが報告された。
その副作用の症状は、失神が多いという。
重篤なケースも88件報告され、その中には、死亡例も1件含まれている。
さとう内科循環器科医院・佐藤 荘太郎院長は「多いのは、痛みとか腫れたとか。あとは筋肉痛、リウマチのような症状が出るんですけど、ひどい症状になりますと、脳炎を起こして、脳が腫れたりして、寝たきりになっている例があるんです」と話した。
「スーパーニュース」では、ワクチンの接種後に、娘に副作用の症状が表れたという母親に、話を聞くことができた。
予防接種を受けた娘に重い症状が出た母親は「歩けなくなるとか、自分の名前がわからないとか。数字がわからない、1〜10まで数えられないとか、いろんな症状があって」と話した。
2011年10月に当時12歳だった中学生の娘は、杉並区の医療機関で、子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」を接種した。
予防接種を受けた娘に重い症状が出た母親は「(予防接種をして)針を刺したまでは、何もなかったんですけど、薬液をキューッと入れた途端に、『手がおかしい』ってすぐに言ったんですね。手がだらんとした感じで...」と話した。
娘がワクチンを接種した直後に、手や足にしびれや腫れる症状が出て、その後、全身に症状が広がり、1年3カ月もの長期にわたり、通学できない状況に陥ったという。
予防接種を受けた娘に重い症状が出た母親は「左手が24時間激痛で、足のしびれがひどくて、動けなくなってきたんですね。歩けない」と話した。
その後、娘は8つの病院を転々としたが、診察にあたった医師が、子宮頸がんワクチン自体を知らないなど、原因が、なかなかわからなかったという。
当時、母親が娘の様子をつづっていたブログには「娘は、1÷1の計算もできなくなってしまった。計算障害が治る様子を見せない娘。ずっと脳の中がかすんでいる」などと書かれていた。
娘には、そのほか、夜中に布団の中で突然暴れだしたりするなど、さまざまな症状が出たという。
その後、長期の入院を余儀なくされた中学生の娘に、ようやく子宮頸がんワクチンによる副作用との診断が下り、厚労省にも報告された。
娘は、2013年1月には、かろうじて通学できる状態になったが、今も計算障害などの症状が残っているという。
子宮頸がんワクチンの副作用についてくわしい、そね文子杉並区議会議員は「みんな、さまざまな症状が出ているが、わからなくて、精神科に行きなさいと言われたり。地元では、治療できなくて、お子さんとお母さんだけ引っ越しされたりとか、病院の近くにマンションを借りて、治療をしている方もいるそうです」と話した。
11日、女子中学生の母親は、杉並区の保健所を訪ねた。
実は、母親が相談を始めた当初は、杉並区は補償などについて明言していなかったが、8日の区議会で、医療費などを区として補償することを公表していた。
予防接種を受けた娘に重い症状が出た母親は「杉並独自で考えたもので、溝を埋めるという形で補償するということで。申し訳ないという言葉もいただけましたので、その点は満足しています」と話した。
子宮頸がんの発症を防ぐためのワクチンが、副作用の可能性をともなうという現実。
医療ジャーナリスト・医師の森田 豊氏は「今後、このワクチンがどこまで体を救ってもらえるものなのかということを、慎重に統計学的な見地から見なければいけないと思う」と話した。
FNNの取材に対し、厚労省担当者は「年に3回程度、専門家による検討会を開催して、議論いただいておりますが、これまでのところ、安全性に重大な懸念はなく、特段の措置は必要ないとされています」と話した。
また田村厚労相は、12日朝、「ワクチンというものは、一定の効果に対して、一定の副反応というものが、どうしても出てくる部分でございますから、これからも、そういう副反応のいろんな問題が起こったときに、ちゃんと報告態勢が組めるように、指導していかなければと...」との考えを示した。