女性５人に対する強制わいせつ致傷罪などに問われた名古屋市の塗装工、丸山義幸被告（４２）に対する控訴審判決が２７日、広島高裁岡山支部であった。５件のうち、０３年の強制わいせつ致傷事件の被害者が事件後に発症した「パニック障害」が刑法の傷害に当たるかが争点だった。伝田喜久裁判長は「パニック障害も傷害に当たる」と判断した１審・岡山地裁の判決を支持し、控訴を棄却した。

　１審判決は、０３〜０４年の３件について懲役１１年（求刑・懲役１６年）、０８〜１１年の２件について懲役９年６月（求刑・懲役１２年）。

　判決によると、丸山被告は０３年、岡山県内の女性（３０）宅に侵入し、カッターナイフで脅してわいせつ行為をし、現金約３万円を奪うなどした。女性は事件後、家の中で物音がすると、過呼吸になったり体が硬直したりするパニック障害の症状が出た。

　被告は０４年に車上狙いの事件で確定判決を受けているため、確定判決の前後の罪は、併合しないとする刑法の規定で量刑は二つに分けて言い渡されていた。【五十嵐朋子】

　【ことば】パニック障害

　突然、動悸（どうき）や息苦しさなどに襲われる精神障害の一種。世界保健機関（ＷＨＯ）の診断基準によると、強い不安感などで動悸や震えが反復し、実際には何の危険もない環境で、いきなり発作が起こる。症状が長期化するとうつ病を併発し、外出ができないなど日常生活に支障が出る場合もある。