名古屋グランパスのDF田中マルクス闘莉王(31)が甲府戦(16日・中銀スタ)でFW起用されることが濃厚になった。13日に行われた実戦形式の練習で4−3−2−1のワントップに入った。チームは9日の浦和戦に完敗して開幕から2戦で勝ち点1にとどまっている。苦境打開の切り札として、昨季もFWで活躍した闘莉王に攻撃の全権を託す。
開幕3戦目にして早くも“闘莉王頼み”だ。練習でストイコビッチ監督は前節までの矢野に代えて闘莉王をワントップに据え、両サイドに小川と玉田を配する3トップをテスト。闘莉王は早速ゴールを挙げるなど存在感を発揮し、「オレはDFだよ」と苦笑いした。
本来は窮余の策の「FW闘莉王」というカードを今、切らざるを得ないところがチーム状態の悪さ。浦和戦では決定機すら満足につくれず、ピクシー監督は「前線に創造力が足りない」と嘆いた。開幕から2試合で奪った唯一の得点は、闘莉王のオーバーラップがオウンゴールを誘ったものだ。
闘莉王は昨季終盤FWとしてプレーし、チーム2位の9得点。玉田は「闘莉王にはサッカーセンスがある。前線でキープできるし、オレも生かしてくれる」と語る。得点力とポストプレーを兼ね備えたFW闘莉王には、即効性という面では大きな期待ができる。
練習後にはピクシー監督と闘莉王、主将の楢崎が3人で車座になり、チーム立て直しについて話し込んだ。闘莉王は「自信を持ってやらないと。選手同士がお互い要求し合わないといけない。まだ2試合しか終わっていないんだ」と力説。一丸となって戦えば、状態は上向くと語った。
闘莉王は左ふくらはぎ肉離れで浦和戦を欠場。12日に全体練習に復帰したばかり。故障明けで万全ではないはずだが「(闘莉王頼みは)今に始まったことじゃない。浦和でプレーしていたときからずっとそう」と笑い飛ばす。昇格組の甲府が相手だけに、敗れれば泥沼にはまりかねない一戦。燃える男がチームを救う。 (木村尚公)
◆本多、初出場の可能性
新人DF本多が実戦形式の練習で途中から主力組の左サイドバックに入った。積極的にオーバーラップを仕掛け、持ち味の一端を示した。本多は「阪南大では主にセンターバック。サイドバックの経験があまりない分、どんどん技術を吸収したい」と意欲的。甲府戦でプロ初出場を飾る可能性もありそうだ。
◆田中隼に長女が誕生
名古屋グランパスは13日、DF田中隼磨(30)に第3子となる長女が11日に生まれたと発表した。田中隼は「新しいグランパス・サポーターが一人増え、うれしい限りです。家族のために一層頑張っていきます」とコメントした。
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