損賠訴訟:コスプレ強要で賠償命令 カネボウ化粧品の子会社、研修会でノルマ未達成の罰−−大分地裁判決
毎日新聞 2013年02月21日 西部夕刊
◇「社員に心理的負担」
化粧品の販売目標数に達しなかった罰として研修会でコスチューム衣装を着せられ精神的苦痛を負ったとして、大分県内の60代女性がカネボウ化粧品販売(本社・東京)と当時の上司4人に約330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、大分地裁であった。一藤哲志裁判官は会社側の違法性を認め、上司1人を除く3人と同社に計22万円の支払いを命じた。
判決によると、女性はカネボウ化粧品の契約社員で出向先の販社で美容部員として勤務。09年7、8月の販売数が目標数に達しなかったため、10月の研修会で上司がこの女性を含む4人に用意していた衣装の中から選ばせ、着用させた。女性はウサギの耳の形をしたカチューシャに易者の格好で、11月の研修会でスライド上映された。
女性は同年12月、うつ状態を伴う「身体表現性障害」と診断されて休養。そのまま11年5月に雇用期間が満了した。
一藤裁判官は「任意だったとしても拒否することは非常に困難。社会通念上、正当な職務行為とはいえず心理的負荷を過度に負わせた」と認定した。親会社であるカネボウ化粧品(同)の広報担当者は「判決文が届いていないので内容を見て判断したい」と話した。【田中理知】