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【芸能・社会】園子温監督の挑戦 方言丸出しドラマ、テレ東京で2013年3月14日 紙面から
ベルリン、ベネチア国際映画祭などで受賞している園子温監督(51)が4月下旬まで、テレビ東京制作のドラマ「みんな!エスパーだよ!」のロケで古里の愛知県東部、東三河地方に入っている。第1話を撮影した監督は、同県豊橋市での会見で「方言丸出しは実に面白い。続編、映画を作りたい」と意欲を見せた。 −監督は高校時代まで東三河で過ごした。映画「ヒミズ」(2012年)でベネチア国際映画祭で受賞した染谷将太(20)、柄本時生(23)らが出演。相手の心が読めたり、空間ワープができたりする能力で異性への妄想を膨らませる高校生役だ。 僕の高校時代の成績は後ろから1番か2番。ホームレスになるだろうと親からも先生からも見放されていた。恋の思い出も全然ない。僕もそれなりに好きな人はいたけれど、報われることはないと思っていた。もんもんとした思いは主人公と同じ。すごくシンパシーを感じる。高校生活を謳歌(おうか)していたら作品につながらなかった。(女優の神楽坂恵と)結婚し、私生活は穏やかになりましたね。作風も変わったと思います。 染谷君は天才的な役者。彼がどんな役もこなせると実証するには絶好の機会。柄本君も努力家でホテルでは三河弁のテープをずっと聴いている。父は俳優柄本明さん(64)。父親譲りの役者根性が入っている。 −ロケはすべて東三河。現場では三河弁が飛び交う。撮影2週間前に標準語の台本を自ら三河弁に変えた。 今までの民放ドラマにない、全く新しいものをつくりたいとどっぷり、がっつり方言を採り入れた。映画で方言は簡単だけど、分かりやすいものが求められるテレビドラマでは回避されがち。挑戦だと思う。 過激な内容が温かみ、柔らかさのある方言でかわいらしくなる。現場では僕の高校の同級生やスタッフの知人らから方言指導を受けている。西三河出身の親を持つ生徒役は名古屋弁を交じえるなど正確さを考えているが三河の人は厳しい見方をするでしょうね。 −テレビドラマの監督は2話だけ参加した「時効警察」(06年)に次ぎ2度目。今回は全12話中6話を担当。メーン監督を務めるのは初めてとなる。 映画でも2、3本撮ったらスタイルを変え、園子温らしさはどんどん捨てていきたいと思っている。僕を知らない人がチャンネルをいかに変えないか、面白く見るかがテレビの醍醐味(だいごみ)で挑戦。園子温なんて狭い世界ではなく、面白くてぶっ飛ぶもので視聴者を面食らわせたい。 勝手知ったる東三河の方言丸出しは実に面白い。ドラマを見た人の間で三河弁がブレークし、「だに(だ)」を面白おかしく使って、関西弁のように全国の人がちょっとぐらい三河弁ができるようになれば。 ◆原作は青年漫画原作は映画化された「デトロイト・メタル・シティ」の若杉公徳さんの青年漫画。「エスパー」の力をつけた高校生のどたばたコメディーだ。第1話は3月6日までの4日間、愛知県新城市、豊橋市、豊川市で撮影。廃校の県立鳳来寺高校では、「本番、よーい、スタート」と監督が声を張り上げ、染谷は「ギャーァァァ」と叫びながら、廊下を疾走。真剣な撮影が続いた。 「『ハレンチ学園』の現代版ともいえるちょいエロ学園もの。青少年がどきどきするものになれば」と監督。後半は「僕のオリジナルストーリーがさく裂。東三河で物語がどんどん生まれている」と明かす。 地元の数十人がエキストラとして参加し、クランクアップは4月下旬。テレビ東京、テレビ愛知、TVQ九州放送などで4月12日深夜0時12分から放送する。 ◇園子温(その・しおん) 1961(昭和36)年12月18日、愛知県豊川市生まれ。法政大在学中から映画製作を手掛け、「男の花道」(86年)でぴあフィルムフェスティバルグランプリ。「愛のむきだし」(2008年)ではベルリン国際映画祭カリガリ賞、国際批評家連盟賞。「ヒミズ」(12年)で主演の染谷、二階堂ふみがベネチア国際映画祭最優秀新人俳優賞。震災と原発をテーマにした「希望の国」(12年)ではトロント国際映画祭アジア最優秀映画賞を受賞。11年秋、女優神楽坂恵(31)と結婚した。 PR情報
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