対馬仏像盗難 韓国僧侶の「別の仏像贈る」発言に関係者は怒り
韓国の窃盗団による仏像の盗難騒動が、思わぬ展開を見せている。韓国の僧侶の発した一言に、日本の関係者は怒り心頭となっている。
2月、檀家(だんか)は「自分たちの...、600年拝んできたご先祖様が盗まれた」と話していた。
この盗難騒動は、長崎県の重要文化財に指定されている、対馬市の観音寺の「観世音菩薩坐像(かんぜおんぼさつざぞう)」が、2012年、韓国人の窃盗団に盗まれたもの。
さらに、韓国の裁判所が、今後行われるとみられる民事裁判で判決が確定するまで、日本に仏像を返還できないという趣旨の仮処分を出し、仏像は現在、韓国側が保管しているという。
そうした中、「もともと仏像を所有していたのはわれわれだ」と主張しているのが、韓国・瑞山(ソサン)市にある浮石(プソク)寺。
周辺住民らは集会を開き、「(われわれの寺に)安置しろ! 安置しろ! 安置しろ!」と声を上げた。
日本側が、「仏像は、朝鮮半島の文化を伝えるために対馬に持ち込まれた」と主張しているのに対し、浮石寺の関係者らは「西暦1370年ごろに日本に略奪された」と主張している。
日韓の主張が対立し、仏像が戻る見通しが立たない中、韓国側の僧侶のある発言が波紋を広げている。
韓国・浮石寺の僧侶は「わたしたちが(対馬に)行って、今回の仏像問題を解決できればと思います」と話した。
仏像を返すのではなく、この僧侶自身が対馬へ向かうという。
どのような意図があるのか、FNNは、あらためてこの僧侶を直撃した。
韓国・浮石寺の僧侶は、「時期的なものを突き詰めれば、日本が盗んだことが先です」と話し、「仏像の所有権は自分たちにある」と主張した。
また、対馬に行く理由については「仏像をなくしたことが、どれくらい大きな痛みか、よくわかります。今回は、傷ついたその方に慰労の言葉や手紙を差し上げて、われわれの寺を象徴するマスコットや小さな仏像も、贈り物として持っていきます」と話した。
韓国・浮石寺の僧侶は、別の小さな仏像と、寺を象徴するマスコットを持っていくという。
浮石寺に問い合わせしたところ、寺の象徴であるマスコットの写真が送られてきた。
マスコットは、非常にカラフルで、はっきりとした顔立ちとなっている。
14日に対馬に入る韓国の関係者は、観音寺から盗まれた仏像を返すわけでもなく、親書とともに代わりの仏像を持ってくるということで、寺の関係者は困惑している。
前住職は「丁重ににらみつけて、『1歩たりとも入ることは許さん』と言いたい。対日本の問題に仏像をすり替えてしまった。政治問題化してしまった」と話した。
また、対馬市教育委員会は「代わりの仏像を持ってくると聞いたので、それは向こうの既成事実をつくるだけでは」と話した。
韓国の僧侶らは、14日午前にも対馬を訪れる予定だという。