伊根・太鼓山風力発電所 支柱折れ、羽根落下 先端部、金属疲労か
京都府は13日、伊根町に設置している太鼓山風力発電所で、風車1基の先端部分が高さ50メートルから羽根や発電機ごと落下した、と発表した。落下部分は重さが計約45トンあり、羽根は長さ25メートルで3枚あったが、付近に人家はなく、けが人はなかった。府は原因を詳しく調べている。
落下したのは6基あるうちの3号機で、地上から約46メートルのボルト接合部分付近から折れていたという。支柱は鉄製で切断部分の厚さは8ミリだった。
府によると、12日午後7時半ごろ、同発電所を遠隔制御している福知山市の府公営企業管理事務所で3号機の異常を知らせる表示があった。13日午前9時40分に点検業者が落下しているのを見つけた。異常を感知した時は風速15メートル程度だったが、設計上は25メートルまで発電が可能という。
府は「切断部は風の力を受ける場所で、金属疲労の可能性がある」とし、今後、専門家を交えて原因を調べ、残る5基も点検するという。同発電所は2001年に運用を開始した。風車1基あたりの建設費は約1億7800万円で、耐用年数は17年。風車6基のうち、4、5号機は落雷などで故障していた。
11年度は発電所全体で約400万キロワット時を供給し、4700万円の売電収入があったが、故障や風力不足が響き約4500万円の赤字だった。昨年9月に固定価格買い取り制度の対象となって売電価格が1・6倍となり、収益の改善が期待されていた矢先だった。
■詳しい調査必要
風力発電の開発などを行う独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」の伊藤正治主任研究員の話
過去に沖縄県の宮古島で強風のため風車が根元から倒れた事故はあったが、先端近くが折れるのは聞いたことがない。風による負荷や構造上の問題など詳しい調査が必要だ。
【 2013年03月13日 23時10分 】