甲状腺有所見率調査結果(速報)について(おしどりマコ)
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環境省が水俣病訴訟で行ったこと
この甲状腺有所見率調査事業の速報値の発表で、
環境省の桐生康生放射線健康管理担当参事官が
「福島の結果は他県とほぼ同様だったと考えている」とコメントされていた。
この調査事業は環境省総合政策局環境保健部、放射線健康管理担当参事官室が行っている。
ところで筆者は、水俣病とアスベストについても取材を重ねている。
「桐生康生」の名前には見覚えがあった。
3月4日に大阪に行った際、水俣病の関西訴訟をしている弁護団の弁護士の一人と会い、話を伺った。
3月15日に最高裁弁論が行われる裁判の1つに「Fさん訴訟」がある。
これは、関西訴訟で勝訴しながら熊本認定審査会で棄却されたFさんの処分取り消しと
認定を求める訴訟である。
Fさんは一審(大阪地裁)勝訴を経て、控訴審(大阪高裁)で敗訴している。
この大阪高裁での敗訴のときの驚くべき証言があがってきたのだ。
国側の医師証人として佐藤猛医師が出廷を要請されていたが、
佐藤医師が原告Fさんが「明らかに水俣病であった」と証言をしようとすると
環境庁の担当官が
「証言の際、『認定審査会』の判定は妥当であったと証言してほしい」
と要望されたというのだ。
『認定審査会』の判定は妥当、つまり水俣病ではないと証言してほしい、ということである。
佐藤医師はそれを断ると、その後も数回、同様の要請をされ、
両者の意見が合わないまま、証人の要請は立ち消えとなったというのだ。
結果、環境省は原告Fさんが水俣病ではない、と証言する医師を揃え、
Fさんは敗訴するに至った。
原告の逆転敗訴に驚いた佐藤医師が原告の弁護団に連絡し、この件が判明したのである。
この1件は過去のことではない。平成23年6月の話である。
(改めて、この件は詳細に記事にする)
筆者は、環境省環境保健部特殊疾病対策室に取材をしたが、
最高裁に係っていることもあり、ノーコメントであった。
そこで、当時の特殊疾病対策室のメンバーを調べていた。
(環境省の環境保健部特殊疾病対策室が水俣病に関わる部署である。)
佐藤医師に証言を曲げる要請をしていた当時の特殊疾病対策室の室長が
桐生康生氏なのである。