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「物を語る」ということ
投稿者: 幻楼斎    [2013年 03月 14日 (木) 01時 07分 42秒]
物語は「物を語る」と書きます。
その「物」には色々なもの……「状況」や「キャラクター」、「情景」などが含まれますが。
この『赤色散華』は「想い」を愚直なまでに突き詰めて、語ろうとしているように思えます。

当麻の愛情と、椿の愛情を縦糸に。
シェンナの未だ名付けざる想いと、未だ見えぬ六木の想いを横糸に。
それだけで、惹かれ合い、すれ違う物語を織り上げようとしている。
そして、それをもって血の香りと甘く苦い何かを描き出している。
私は、その清々しさに好感を覚えます。

勿論、愚直さが故に、人を選ぶ部分はあります。
「ライトノベル」とは呼べない部分を孕むのも確かです。
ですが、まず最初のページをめくってみてください。
もし、そこに惹かれるものを感じたなら。
あなたは悲しくも美しい「想い」が語られているのを見ることができるでしょう。
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